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2007年6月23日 (土)

352 形を変える癖

人類は、種に特有の「癖」を持っています。それはものの形を変えたがる癖です。例えばサルも道具を用いますが、しかし彼らは、石は石として木の実を割るのに用いるだけです。しかし、ヒトは手ごろな石を打ち欠いて刃をつけてナイフとして獣の皮を剥ぐのに用い、或いはそれを手ごろな枝をくくりつけて斧に作り変えます。しかし天然の鉱物を発見して青銅を作り、砂鉄を溶かして鋼で鉄器を作り、ドロドロの原油からサラサラの石油を絞り出す事を発見して以降、その癖は留まるところを知らないくらい「悪化」しました。それは最早癖というよりは、殆ど悪癖あるいは病的状態であると言っても良いかもしれません。

人間はいまや、天然自然のものをそのまま使い、或いは口にする事は殆どないでしょう。必ず一度「工場」を通過させ、何らかの「加工」を加えます。その加工が、単なる包装や梱包である場合もありますが、いずれにしても加工します。例えば、ありふれたリンゴでさえ、農家は沢山の化学肥料や農薬を使って育て、人工授粉や摘果を行い、袋をかけ、採果後も大きさや糖度別に選別し、ワックスをかけて磨き、緩衝材に包んでダンボールに詰め、或いは冷蔵倉庫に保管し、最後はトラックを使って輸送し、スーパーでビニールの袋に詰めてから売られて、やっと私達の口に入ります。しかも殆どの家庭では、ご丁寧にもナイフで皮を剥き、8つに切り分け、芯をくり抜くと言う「加工」が行われる事でしょう。もっとひどい場合には、8つに切った後で、ジューサーなる恐ろしい機械に投げ込み、全く形を無くしてしまうという「リンゴに対する暴挙?」すら平気で行われています。木から太陽の光をたっぷり浴びた、無農薬の果物をプツンと摘んでガブッとかぶりつく状態に比べれば、リンゴの例ひとつを取っても、如何に人間が「形を変える病気」に陥っているかが明らかでしょう。間違いなくこの病気は、かなりの重症です。これは、日本で言えば戦後に欧米(特に米)から伝染した、悪性の伝染病である事は間違いないところです。

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