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2007年9月 5日 (水)

418 省エネ産業の幻想

先進国は、中国やインドなどの途上国の産業構造を、省エネ型に誘導するために、持てる省エネ技術を活用すべきである、という議論が続いています。しかし、投稿者が関わった、或いはいま関わりつつある企業群を眺めても、それほど胸を張って諸外国に紹介できそうな例は見当たりません。むしろ、省エネ・省資源に限ってみても、工数(コスト)を削減することだけに目が行き、まだまだ無駄は大きいと感じています。ISO14001を取得して、表面上環境経営に取り組んでいると見られる企業でさえも、細かく見れば全く情けない状態であるといえます。

その一例です。ある企業では、24時間工場を動かし、鋳造工程(つまりはキュポラです)から発生する粉塵を取り除くため、非常に大きくて立派なバグフィルター(集塵装置)を運転しています。送風機はと言えば、何台もの100kwほどもある巨大なモーターで駆動していますので、送風機の電力料金だけを考えても毎日10万円程度は掛かっている計算です。しかし、よく眺めて見ると工場でも特に粉塵を発生させている場所に設置されている、吸入口(ベルマウス)からちっとも粉塵を吸っていません。結果、工場の空気はボンヤリと霞み、作業環境も悪そうです。原因は、実は排気ダクトの中に面積の半分くらいのホコリが堆積していることでした。多分何年も(もしかすると作られてから一度も)掃除された事がなかったと思われます。

一方、毎日製品を製造している設備については、出荷が止まったら困るので、しっかりメンテナンス担当を決めて、定期点検を行っているのでした。確かに、排風装置の様な衛星設備や周辺設備は、直接的にお利益を生み出すものではありませんが、そうは言いながら経費と言う形では、日々コストを発生させ続けてもいるのです。

いくら近代的な省エネ型の設備や公害防止設備を途上国に輸出したとしても、かつての石油危機の際に育んだ、きめ細かい省エネ・省資源の知恵を付け忘れてしまえば、保守を怠りながら数年も使えば、従来の古い設備となんら変わらない「垂れ流し設備」に陥る事でしょう。ここで言いたかった事は、省エネ・省資源は設備そのもののハードウェアの問題ではなく、そこに吹き込む「ココロや知恵や一手間」の問題であるという事になります。

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