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2007年10月 2日 (火)

442 生物多様性

生物多様性は、環境問題では重要なK/Wです。この場合の環境問題とは、単なる資源やエネルギーの問題や廃棄物の始末など狭い定義ではなく、それこそ地球環境といった広い捉え方を指します。では何故生物多様性が環境保全に重要な意味を持つのかを少し掘り下げてみましょう。農業を取り上げてみます。ある畑に1種類の作物を植えたとします。植物にとっての原料は、土壌と水と炭酸ガス+太陽光ですから、農家はその作物が最も良く育つように、肥料や農薬を散布します。その結果何が起こるかといえば、その土壌はその作物の生育に適する様に変化してしまいます。それにつれて、土壌の養分や微生物、土中の昆虫相もかなり単純な方向に変化します。つまり、出来上がった新しい土壌環境には、殆どその作物しか育たなくなるでしょう。高原キャベツ栽培然り、トマト栽培然り、投稿者の住んでいる市でも盛んなニンジン栽培然りです。特産と呼ばれる農作物の多くは、実は人為的に作り出されたものであった訳です。

生物多様性を織り込んだ農業とはどんな姿になるでしょうか。多分それは雑草の中に、まばらに野菜が植えられている様な畑に見えるはずです。しかし、雑草はそれぞれの特性に応じて、土壌を利用する深さ(根張り)も違いますし、土中の微生物との共生関係も異なります。昆虫は、野菜も食べますが、多様な昆虫相が形成されるため、1種類の害虫だけが蔓延ることはありません。したがって、基本的には農薬は不要となるはずです。しかも、野菜はまばらに植えられているので、少ない量の有機肥料の施肥で十分です。雑草は、枯れればそのまま肥料に変化もします。

別の例では、遠くブラジルの胡椒畑の成功が挙げられます。天然の胡椒は、実は大きな木の下のあまり日当たりが良くない場所に自生しています。しかしながら初期の大規模な胡椒農園では、胡椒の木を密植していますので、病害虫や旱魃や雹などの自然災害で、多くの農園が壊滅的な打撃を受けました。しかし、日本の篤農家(農学者)がブラジルに渡り、長年の苦労の結果、多様な樹木の林の中に、まばらに胡椒の木を植えるという作付け方法に到達して以降、胡椒の生産は非常に安定したものとなっています。またその胡椒畑には、いくつかの種類の野生種に近い果樹なども植えられていますから、多様な農産物も収穫できるオマケもついています。

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