« 443 振れ幅 | トップページ | 445 物欲抑制機械 »

2007年10月 4日 (木)

444 生存光線

遠赤外線は、生物の環境条件としても、温暖化の原因あるいはその解決方法にとっても重要な要素です。まず生物ですが、植物も動物もある波長範囲の遠赤外線にかなりの程度依存して生きています。植物でも比較的高等なものは光(例えば菊などにおける日照時間)を感知して春夏秋冬を計っていますが、多くの植物は気温(つまりは遠赤外線の強度)を生活史の指標としています。つまり、寒い時期の後に来る暖かい季節を春と認識し、暑い季節の後に来る急激な気温の低下を秋の到来と認識するわけです。遠赤外線の強度が一定以下になるとそれは活動のできない季節、つまりは冬なので、多くの植物は休眠状態に移行して、数ヶ月間活動を殆ど停止します。

一方、動物においても遠赤外線は生存にやはり非常に重要な役割をもっています。変温動物は、遠赤外線の強度を敏感に感じ取って、生存競争を生き抜いています。例えばヘビなどの爬虫類は、頭部に非常に鋭敏な赤外線センサーを持っており、獲物や敵の存在を素早く察知できます。それはまた、季節を知る温度センサーでもあるわけです。ふくろう族も顔面に性能の良い赤外線センサーを持っており、夜間でも獲物の動きを鋭敏に察知できます。彼らの首が、ほぼ360度回転するのは、獲物の発する赤外線が最も強い方向にセンサー(顔面)を素早く向ける事ができるためなのです。すなわち顔を向けた方向に、間違いなく体温の高い動物(例えばネズミ)がいるというわけです。

さて遠赤外線は、人間にとっても勿論重要な生存ファクターです。人間の場合、この赤外線センサーは首筋や背中に集中しています。勿論顔面や目にもセンサーを持っていますが、主に暑さ寒さを感知し生存に関わるのは首や背中のセンサーです。寒さにブルッとふるえるのは、首筋や背中に寒さを感じた時です。この時、背中や首筋からは必要の以上の遠赤外線が、寒い周囲の環境に向かって放射されています。他の人と背中合わせでいると、ポカポカしてくるのは、その人から背中を通して遠赤外線を貰っているためです。植物が有効に利用している8-14μmの波長の遠赤外線を指して「生長光線」と呼ぶ事もありますが、ここでは、敢えてこの重要な遠赤外線を「生存光線」と呼んでおきます

|

« 443 振れ幅 | トップページ | 445 物欲抑制機械 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 444 生存光線:

« 443 振れ幅 | トップページ | 445 物欲抑制機械 »