« 452 ストックとフロー | トップページ | 454 氏神様 »

2007年10月13日 (土)

453 富

更に続きです。食べ物のストックは、鳥や小動物やアリなども行う行動ですが、人間だけのストックである「富」について考えて見ます。以前にも書いたように、投稿者はモノと金は等価ではないと考えています。元々、人間にとっての富とは食糧のストックでした。いにしえの権力者は高床式に倉庫に領民から献上された(召し上げた?)食糧を蓄えておいた訳です。勿論飢饉の時には、さすがに領民が飢え死にしてはいけないので、ストックを放出することもあったでしょう。しかし、あるとき誰かが金、銀、銅などという貴金属やきれいな石(玉や宝石)を発見してしまいました。その結果、何時の頃からかこれらの貴金属や宝石が富の象徴になってしまったのでした。これらのものは、全く食糧にはなり得ないただの物質でありながらです。

富が実体のモノである限りは、物質不滅の法則があるのでそれは減りもしないし増えもしません。しかし、人類のもうひとつの重要な発明である貨幣(とりわけ紙幣)が出現してからは、様相が一変しました。紙という価値が低い物質に、インクで印刷した途端に急に「価値」を持ち始めるのです。この価値は、たとえば金に交換できる兌換紙幣であった間はそれでも、実体に近いものでしたが、いまや印刷さえすればいくらでも流通量を増やす事が可能です。

さらに、前世紀の終わりごろに至って「電子マネー」が使われ始めるや否や、富と実体とは殆どといって良いほど無関係になってしまいました。電子マネーをコンピュータ上で激しく動かし、短期間で何倍にも増やしたり、一瞬にして消えてしまったりする現象が日常茶飯事になりました。この事態で何にも増して重要なポイントは、先物取引でしょう。何しろ、まだ到来していない将来の取引を先取りするわけですから、これ以上実体の無い価値取引は考えられません。

いまや富とは、コンピュータ内で単に数字の桁数で表すものとなってしまいました。「富」の歴史も、想えば遠くに来てしまったものです。

|

« 452 ストックとフロー | トップページ | 454 氏神様 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 453 富:

« 452 ストックとフロー | トップページ | 454 氏神様 »