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2007年10月17日 (水)

457 感覚遮断症候群

これまでも自然と人間社会の活動の乖離については度々書いてきましたが、現代社会の病理の多くが、実はこの乖離現象にあるのではないかとさえ疑っています。人間が自然に囲まれて自然に依存して、時には自然と戦って暮らしていた時代には、人間の力はささやかなものでした。一人ではできない事は「結い」という共同体で力を合わせるしかありませんでした。とは言いながら、自分の五感で感じられる範囲の出来事には実体がありました。

しかしながら、現代の人間によって作り出された人工的社会には多くの「感覚遮断」が内在しています。例えば、テレビに美味しそうな料理が映し出されたとしましょう。確かに視覚とジュージューと肉の焼ける音により聴覚は使われてはいますが、嗅覚や触覚やましてや味覚は完全に遮断されています。また例えば携帯電話でのメール交換というコミュニケーション手段では、ただ一つの感覚、つまりは視覚しか使われていません。残りの四感は全く遮断されているわけです。

多分正常な人間を、何の刺激もない部屋に長期間(例えば1週間以上)閉じ込めるだけで、簡単に発狂させるかそれに近い状態にことが可能です。それほど、人間の五感は「刺激を求めている」のです。感覚遮断による弊害は、例えば動物園でも観察されます。餌を探さなくて済む動物たちは、けっして幸福なのではなく、自分の五感を使って餌を探すという自由(或いは生甲斐?)を奪われていて、もっとも不幸な生活を強いられている動物たちであるといえます。

感覚遮断のよる弊害がある程度まで進行すると、動物では他の個体に対する攻撃性が強まります。つまりは、自分の刺激が少ない事を、他の存在のせいにするという行動です。人間も立派な動物です。まさに、現実の社会で毎日の起こっている、理由のない攻撃性を説明できるのではないでしょうか。攻撃を実行した人間の背景を見るならば、かなりの程度社会から、何より自然から乖離した生活を送っているはずです。

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