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2008年1月19日 (土)

551 お金と環境問題

何度も書いていますがお金や技術で環境問題は解決できません。何故なら、お金こそ環境問題の元凶だからです。本当にそうなのか、幾つかの例で検証してみましょう。人間が自然の与える資源やエネルギーだけで暮らしていた頃(日本では江戸時代までになりますが)、経済規模は人間一人ひとりが働き、稼ぐお金の総和にほぼ等しかったはずです。しかし、地下から資源や化石エネルギーを掘り出し、工業的に大量生産ができるようになった時代(つまりは産業革命以後ですが)その経済規模は、掘り出した資源やエネルギーの量に比例して、急速に拡大してきたのでした。勿論、一方では、資源の精製後の廃棄物や化石エネルギーの燃焼などにより、環境負荷も増大の一途を辿ってもきました。結果として、現代の社会で動いているお金の量を考えて見れば、60数億人の人類が(人力で)稼ぐ場合に比べれば、数桁違いの通貨量となっているはずです。

お金をかければ環境問題が少しは解決するのでしょうか。答えは間違いなく「No」です。例として、いま使っている設備や製品を省エネルギー型に転換していく場合を考えて見ましょう。設備について言えば、効率80%のボイラーを90%のボイラーに交換すれば、その後のエネルギーは1割程度は削減できる計算になります。しかし、一方では、古いボイラーを撤去し、解体し、廃棄物を処理するエネルギーや新しいボイラーを製作するための資源を掘り出し、製造し設置するエネルギーの総和を計算して見ると、省エネルギー分で使ったエネルギーを回収するまでには、何年も掛かってしまう計算になります。省エネルギー効果が出る前に、先ず大量のエネルギーを消費してしまうので、瞬間的には環境負荷がドンと上昇してしまう事にもなります。経済的に見れば、確かに省エネルギーによりお金は回収できても、逆に資源やエネルギーの消費、つまりは環境負荷が増えてしまう結果になってしまいます。経済的メリットとライフサイクルでの環境負荷軽減は両立できない場合も多いのです。

同様に日本が持つといわれる環境技術(でも一体どんな素晴らしい技術があると言うのでしょう?)で、途上国の省エネルギーや省資源にも貢献する、というプロパガンダも、結局は効率の良いマシな設備を売りつける行為と何も変わらない結果になるでしょう。逆説的ですが、どうやら経済規模を縮小する以外に有効な環境対策はあり得ないという結論になりそうです。

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