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2008年1月22日 (火)

554 猿尾

川の流れを緩め、船着場などとして利用するために、昔の人は天然の岩を利用したり、手頃な岩を幾つか沈めたりして、20-30mほど長さの入り江を形成する「猿尾」を作りました。猿尾とは、水中に岩を並べた形が、なにやらサルの尻尾に似ている故の呼び名でしょうが、もっとも日本ザルにはそんなに長い立派な尾はありませんので、この呼び名は中国あたりから伝わった古い表現かも知れません。毎週ジョギングする木曽川の両岸にも幾つかの猿尾が作られており、鵜飼船や川下り舟の船着場にもなっています。さてその猿尾の中は、この寒い時期にはカモたちの格好の休み場所にもなっています。長年の技術者暮らしで、鉄やアルミばかりを見ていましたので、バードウォッチングなどの「柔らかい趣味」とて持ち合わせていませんでしたので、猿尾に憩っているカモたちが、マガモなのかカルガモなのかそれともガンなのか、残念ながら特定できませんが、いずれにしてもそこで冬越しをするようなのです。

しかし観察していても、水に潜って魚(か水草か何かのエサ)を採る様子もありませんし、単に浮かんで時々少し泳いでいるだけのように見えます。不思議なのは、彼らが一体何を食べてあと数ヶ月の冬場をしのぐのかという事です。アイガモ農法という自然農法があって、カモたちは水田の草を好んで食べる様ですので、猿尾に浮かぶカモたちも時々流れてくる草を食べているのかも知れませんが、それにしてもこの寒空にそれほど多くの草が流れてくるとも思えません。

ここが自然の仕組みの偉大さなのだとしみじみ思います。つまり、殆ど生物の生存は、100%太陽光に依存していますが、その太陽光が弱くなる冬場には、自然の成り行きとして、生命活動のレベルは低下させざるを得ないわけです。ある種の生き物は休眠(冬眠)し、また別の種は、種子や卵の状態で冬越しをします。少し智恵のある生き物は食べ物を洞穴にストックし、別の生き物は秋の間に食べられるだけ食べて体の中に脂肪を溜め込みます。上のカモたちも、きっと体の基礎代謝レベルを大幅に下げ、殆どエサをとらなくても春まで生き延びる術を手に入れているのだと想像しています。冬の寒さに耐え切れず火を焚かなくては生きていけないか弱い人間に比べれば、自然の中で生きている生き物たちの逞しさには、いつもながら感心するばかりです。

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