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2008年5月 4日 (日)

656 戻る勇気

山登りが好きです。他の人とペースを合わせると疲れるし、スピードも遅くなりがちですので、一人で登ります。しかし、ヘリコプターや捜索隊のお世話にはなりたくないので、冬山へは行きませんし、自分の体力以上の無理はしません。夏山のリスクの殆どは、ガスに巻かれて登山道を外れる(踏み外す)事と、雷に打たれることくらいです。従って、その危険が予想される場合は、避難小屋に入るか、スケジュールを変更する勇気が必要で、無理を押し通すのは、山では決して勇気とは呼びません。これまでの長い山行の中で、本当に身の危険を感じたのは数回程度ですが、無理をしなかったお陰で、山の思い出は楽しいものばかりです。

さて、このブログでは、この社会の変化を山登りに例えて、科学・技術を使って豊かさを求め続けてきた近代化(の山登り)も頂上に近づいていること、その山の頂上には、緑も無い殺風景な風景と人工物だけの山小屋(都市空間)しか存在しないことを再々書いてもきました。山小屋とは、短期間滞在する仮のシェルターであるにしても、そこで長く暮らす場所ではないはずです。山小屋では、水、食料、燃料、ゴミの処理まで、全て麓(都市で言えば田舎)からのサポートで成り立っているからです。そうであれば、私たちはそろそろ山を下る準備をしなければならない時期に差し掛かっていると思うのです。問題は、その引き返すきっかけを何時、どのように見出すかという一点にあります。環境悪化というガスが濃くなって見通しが利かなくなってきましたが、人々はあまり頓着していない様に見えます。大規模な自然災害(雷)に襲われる、と言う不幸に遭わなければ、目が覚めないのかも知れません。それは、ハリケーン・カトリーナ程度では、エネルギーガブ飲み大国である彼の国の目を覚まさせるには不十分であったと言う事のようです。

幸いな事に、科学・技術という近代的装備を駆使して、新しいルートを開発する事に比べれば、今来た道を少し後戻りする事には何のリスクもありませんし、確実でもあります。何より、科学・技術で実現されると約束されてきた未来は、決して明るくもバラ色でもないことは、今や庶民でも気づき初めているのです。ガスに巻かれとか、雷に打たれて命を落とす前に、戻る勇気を振り絞りたいものです。

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