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2008年5月22日 (木)

674 アメリカン・スパイラル

以前に、道路とは、石油精製で出た廃棄物(タールやピッチ)の捨て場所であると書きました。アメリカで、石油を大量に使いだした時期、石油精製の過程で製油所から蒸留残渣として排出されるタールやピッチは、最初はそのまま道路に散布されたでしょうし、少し知恵がついてくると、細かい砕石と混合したアスファルトとして、舗装道路の原料として利用され始めました。その結果、石油を消費すればするほど、舗装道路は延び続け、結果として長大な高速道路網が生まれ、それが更なるモータリゼーションを加速するという、「アメリカン・スパイラル」が出来上がりました。

それは、二度の世界戦争という石油の「大量消費事件」を通過し、やがてヨーロッパや日本でも加速されました。しかし、庶民が車に乗れるようになった高度成長期以降は、そのスパイラルはさらに加速していきました。モータリゼーションの加速は、モノの消費も加速しました。何故なら、運ぶ事が出来ない商品は市場価値が低いでしょうし、大量生産も大量消費も出来ないからです。

石炭以外、めぼしいエネルギー資源のなかった日本では、国策として早くから輸送のエネルギー効率の高い鉄道網が整備されましたが、この時期、逆に言えば鉄道の輸送量が、社会のモノの移動量(輸送量)を制約していたともいえるでしょう。しかしながら、現在の高速道路に見られるように、数十メートルの間隔で、大型トラックが数珠繋ぎになって疾走できるインフラが出来上がって以降は、鉄道輸送力の制約からは一気に解放されたのでした。

あの列島改造論で急加速された日本でのアメリカン・スパイラルは、ここにきてやっと「道路特定財源の見直し」と言う儀式を経て減速しそうですが、逆に中国や発展途上国では今からまさに加速されようとしているのです。この悪しきスパイラルが、環境悪化を加速している事は、疑いが無い事実なのですが、便利中毒から逃れられないという、困った性質を持った人類はこれからもこのスパイラルを登り続ける事になるのでしょう。得意になって木登りをした子供の様に、登り続けてふと下を見たとき、人々は環境悪化の恐怖に頬を引きつらせる事になるのでしょうか。

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