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2008年5月27日 (火)

679 CDMの矛盾

世銀の調査によれば、2007年度におけるCDMによるGHG(CO2)削減量が頭打ちになって伸び悩んでいるようです。京都議定書の特徴の一つにCDM(Clean Development Mechanism)があります。先進国が途上国のGHG削減に協力した場合、その削減量が援助した先進国の削減量としてカウントされるというものです。これは、結構美味しい話のようにも聞こえます。多くの場合お金だけ、あるいはお金+某有名企業の技術をセットとして、途上国の企業の設備を改良する、あるいは効率の高い発電所を作る、程度の中身で、それなりの「削減効果」を上げる事が可能だからです。しかし、中身を詳細に検討すれば、多くは見かけ倒しでしょうし、そうでなくともその設備の建設によって、短期的にはCO2の排出はプラスになっているからです。設備の建設に欠かせない建築資材ですが、例えば、石灰岩から1トンのセメントを作る為には700kgものCO2の排出を伴うのです。

このブログでも、繰り返し書いているように、開発と環境保全の両立は土台無理な話なのです。開発とは、殆どの場合、先ずは自然破壊を行った上で、その後に人工物の建設や農地の拡大行うからです。山に大規模に木を植え、人工物を壊して自然に戻すなどと言う「逆開発」は聞いたためしがありません。開発によって破壊された自然が吸収していたCO2が行き場を失う一方で、開発や建設によって新たに発生するCO2が、ダブルで温暖化を加速する訳です。矛盾だらけの「クリーンな開発」は、単なる言葉遊びに過ぎません。

途上国に対し、先進国が真に温暖化防止に効果のある援助を考えるのであれば、先ずは無計画な伐採によって禿山になった場所に植林をし、無理な工業化・都市化のために作られた人工物を壊して、元の自然に戻る事業を検討すべきでしょう。これらの事業によって、途上国では意味のある雇用が生まれ、数十年先にはなるでしょうが、山地や林地の保水率が上がって農業生産が増え、毎年のように繰り返される水害も大きく減るはずです。来るべき次期の議定書では、CDMではなく、GDM(Green Development Mechanism)の原則が打ち立てられる事を望んでいます。

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