« 724 サミット考 | トップページ | 726 儲け話 »

2008年7月12日 (土)

725 LCA的見方

最終的に、その社会活動が環境負荷に与える影響を正確に評価するためには、LCALife Cycle Assessment)的見方が欠かせません。それを正確に評価するには、話は結構込み入ってくるので、ややこしい事が嫌いな日本では、実はあまり流行っていません。例えば、今向き合っているノートパソコンのLCAを少し考えて見ましょう。パソコンは、ケースやキーボードに樹脂やアルミ、内部回路に銅やシリコンやベーク板などが、電源には銅線やリチウムイオンバッテリーなどが使われています。また画面には、液晶パネルや蛍光管などが使われ、全体として機能を発揮しています。

それぞれの部品の環境負荷を調べ上げ、それを加えれば、パソコン製造時の環境負荷は計算できそうですが、話はそれほど簡単ではありません。例えば、銅という金属原料を得るには、先ず鉱山から鉱石(多くは銀や他の金属が混じりあった状態で産出されます)を掘り出し、精錬工場に運び、電力や石油エネルギーを投入して精錬し、粗銅とします。用途によっては更に精錬され、或いは他の金属と合金され、やっと電線メーカーに出荷されます。そこでは、原料が細く引き伸ばされ、束ねられビニールやシリコンやゴムで被覆されやっと電線になります。話はそこで終わりません。電線はパソコンメーカーに運ばれ、接続金具がつけられ、やっと回路に組み込まれます。ここまででも、採鉱、運搬、精錬、2次精錬、伸銅、被覆、2次加工、組込みの各工程で発生する環境負荷を正確に計算するのは結構骨が折れます。しかし、パソコンの一番大きな環境負は実はその使用に関わる部分なのです。つまりは使用中の電力消費です。更に、使用後にパソコンを廃棄する段階でも環境負荷を発生させます。特に回路や電池は有害物も含まれ、100%リサイクルできる訳ではないので、必ず埋め立てゴミの発生を伴います。

それでも、根気良く積み上げれば、LCAを計算することは可能でしょう。しかし問題は実はそれからなのです。積み上げた環境負荷には、重みがありません。つまり、銅の精錬工程を例に挙げるなら、精錬工程に関わるエネルギーの消費によって発生するCO2と、銅の精錬の結果多量に発生する鉱滓(鉱物の残りかす)の山から流れ出す有害物質を含んだ水による河川や地下水の汚染のどちらが、どのくらい危険か、という評価の物差しが無いのです。本題は続きます。

|

« 724 サミット考 | トップページ | 726 儲け話 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/185422/41804633

この記事へのトラックバック一覧です: 725 LCA的見方:

« 724 サミット考 | トップページ | 726 儲け話 »