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2008年7月23日 (水)

736 石油<穀物?

石油と穀物のどちらが重要か、と問うまでもなく、それに答えるまでもなく、勿論後者に決まっています。石油は飲めませんし、石油製品を食べるわけにも行きません。しかし、現実はといえば、現代の農業は、石油(電気)動くピボットを使って地下深くから水を汲み上げ、石油で飛ぶ飛行機で種や肥料や農薬を散布し、石油で動く農業機械を使って収穫し、石油で動くトラックや船で穀物を消費者まで届けています。

つまり、今の農業の仕組みでは、石油がなければ十分な食糧を得る事さえおぼつかない事になります。このままでは、石油の切れ目が即大量の飢餓発生につながる事は間違いないでしょう。鉱工業生産や日常生活におけるエネルギーの半減を議論する前に、先ずは最優先の農業における省エネルギーを真剣に議論しなければならないゆえんです。とりわけ、生産された農産物の流通が鍵を握っています。省エネルギーの大原則は地産地消ですから、農産物輸出国が大規模農業により穀物を生産し、国際市場を通じて(プランテーション時代から続く)換金作物を作らされている途上国に売り払われる矛盾を先ず解消する必要があります。全ての国は、自国民の胃袋を満たすため、自国内で最大限の食糧生産を行う必要があります。コーヒーやカカオやアブラヤシやジュートや綿花などの換金作物は、それ自体は食糧にはなり得ませんので、食糧供給に余裕がある場合のみ栽培できることになります。

石油に頼らない食糧生産とは、結局消費者自身が出来る範囲内で自給自足を行うというスタイルに限りなく近づくことに他なりません。自給自足では、農作業の労働力は自分自身の人力ですし、出来た作物を運ぶ必要もありません。食物を食べて排泄したモノもリサイクルして、化学肥料も最小限に抑える必要もありますし、ましてや危ない農薬は絶対に使わず、作物に群がる害虫はひたすら手で取り除くか、クモやテントウムシやツバメに食べて貰うしかないわけです。食糧を含む全てのモノやサービスを「お金というフィルター」を通す、今の流通の仕組みこそが、環境問題の底に横たわっている様な気がします。そのフィルターは、実は殆どが石油で出来ているとも言えるのです。

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