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2008年8月28日 (木)

772 原発考2

以前、H岡原発の見学記を書きましたが、少し時間を置いて、原発についてさらに書き足したくなりました。今回見聞きした技術も織り込みながら、元技術屋として冷静に原発を眺めてみると、その安全性に関して気になる点がいくつか見つかります。先ずは、材料の問題です。原発は、原子炉容器自体は金属で、それを格納する容器は、基本的には分厚い鉄筋コンクリートです。それ自体は、かなり頑丈に作られてはいるのですが、その容器には多くの管路が接続されています。主なものは、給水、緊急炉心冷却、蒸気などですが、それらは多くのバイパスやバックアップラインなど、複雑に絡み合って接続されています。材料の問題は、実は材料自体ではなく、その接続部の溶接施工強度なのです。溶接は、金属を一度溶かして接合しますので、溶けなかった部分(母材)と溶接金属との間の部分の強度は、ある程度低下しているのです。そこに、流体の流れで生ずる衝撃力(キャビテーション)が長期間作用することにより、腐食によるキズが出来た場合、急激な破壊に至る恐れが出てきます。実際、シュラウドと呼ばれる部分では、過去幾度となく腐食割れの発生が報告されています。

もう一つの大きな懸念箇所は、蒸気タービンです。これは、原子炉で発生させた蒸気で、大きな羽根車を回すようなものですが、原子炉で出来る蒸気は、いわゆる過熱蒸気ではではなく、飽和蒸気に近い性質の蒸気であるため、蒸気の中に水滴(ドレン)が混入する可能性を抱えています。このドレンが、タービンまで達した場合、その衝撃力によりタービンの羽(ブレード)に繰り返し衝撃加重を加え続けることになります。金属が、繰り返し衝撃加重を受けるとき、応力腐食割れと疲労破壊が相乗的に作用し、ついには破壊に至ります。事実H岡原発でも、まさにこのメカニズムでタービンの羽根が破損しました。タービン羽根の破壊は、最悪の場合はタービンケーシングの破損を招きますから、そこからの放射能を含んだ大量の蒸気漏れが起こる可能性が出てきます。前回の事故ではこの最悪の事態は回避されましたが、この幸運が次回も期待できるとは限りません。

結局、人間が作ったモノの欠陥を絶対ゼロにする事はできず、またいくら大きな安全率を見込んだとしても、経年変化や設計時に想定していなかった事態の発生により、事故の確率は残るわけです。通常の火力発電所では、蒸気漏れや火災など局所的な事故被害で留まりますが、原発の場合の放射能被害は、最悪の場合国境も越える事になるわけです。原発は、社会の中での「必要悪」であると、はっきり位置づける必要がありそうです。

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