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2009年1月 3日 (土)

899 増幅

社会が人間で構成され、その中で経済活動が営まれている限り、それらはヒトとしての特徴的な行動パターンに左右されます。群れを成すヒトの特徴的な行動で注目すべきものに、「付和雷同」があるでしょう。群集倫理とも呼ばれることがありますが、これが時々困った現象を招きます。たとえば今世の中で吹き荒れている「不景気風」もそんな現象の一つといえるかもしれません。この夏からの動きを眺めて見ても、ごく最近T社が前年同期に比べ、売り上げが2-3割減ったと報道されただけで、殆ど間髪を置かずに、全く関係の無い業界が人員整理を発表し、それが不動産業界やサービス業に飛び火し、あっという間に日本全体が不況風に包まれてしまった感があります。この国の首長でさえ、「100年に一度の非常事態」であると、繰り返し宣伝するほどです。それを見た一般の人たちも、12月に貰った虎の子のボーナスを(車などの)大型商品に回すのを差し控えたのも「付和雷同」が基本のヒト族の行動としては、ごく自然の成り行きでしょう。

T社のアナウンスが、結局自分の首をさらに絞めることになったのは、皮肉な現象ではありますが、この会社を含め、企業や政府が抱えるアナリストやマーケティング専門家達のセンスが疑われます。彼らが、立てるべき戦略は、不安を煽ってそれを「増幅」させ、人々(とり分け社会的に弱い人々)を崖から突き落とすことではなく、如何に世の中の景気を「軟着陸」させるかの、陽動作戦であるべきなのです。つまり、今後の景気はどん底まで落込む、と予言するのではなく、どうすれば軟着陸できるかのシナリオを示す必要があるということです。

ヒト族は、全く予想もしていない急激な状況変化に直面すると、動こうにも全く動けなくなり、多くはパニック状態に陥ります。しかし、一方でヒト族は、動物一般とは異なり、十分な時間が稼げる状況では、色々な知恵を働かせながら、何とか局面を乗り切ろうとする力が出せる、優秀な存在でもあるからです。

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