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2009年1月 7日 (水)

903 譲り

「もったいない」以上に重要なキーワードとして「譲り」を挙げたいと思います。現代の、地球規模の気候変動や限られた地域の公害問題などの根っこを掘り起こすと、それは「独占欲」に行き着きます。独占欲には、個人レベルのものも勿論ありますが、ここで指摘するのはある「世代の独占」です。問題なのは、社会全体が独占を進めても、人々にはそれが意識できないことなのです。何故なら、多くの人々は「隣の人」を見て暮らしていますから、例えば社会全体が贅沢をしていると、自分の贅沢さ加減が見えないのです。しかも、忘れっぽい性質も持つヒトは、年配の人でも多くが、かつて自分の経験した質素な生活を、既に忘れかけている様なのです。

昔、ヒトは自然に包まれて、自然の生態と資源を分け合いながら暮らしていました。しかし、化石燃料や金属などの地下資源を発見し、それを使った近代的な産業を興しました。一つの産業(例えば製鉄業)が別の産業(例えば鉄道などの輸送業)を興し、それらの産業はさらなる地下資源の採掘を要求しました。しかし、この地下の資源(パンドラの箱)の蓋は閉じられるどころか、近年は益々広く開け放たれてきました。これが結果としては「世代の独占」を加速してきたのでした。分かり易くいえば、この2百年で、10世代が生きてきたとします。一方、新人類(ホモサピエンス)が20万年の歴史を刻んできたとしても、精々1万世代余りしか代替わりしていないはずです。我々がいま生きている文明は、僅か10世代で石油資源の半分を使い果たし、多くの地下資源の半分以上を掘りつくしてしまったのです。同じ割合で掘り続けると、単純に考えても次の10世代で殆ど全ての資源や化石エネルギーを使い果たしてしまうでしょう。

これを、世代の独占と呼ばずに一体何と呼べばよいのでしょうか。僅か20世代で、地下資源の殆どを掘りつくそうとしている今の文明は、資源・エネルギー的には原始生活に戻らざるを得なくなるはずの将来世代に、一体どのように評価されるでしょうか。我々の世代に最も欠けているのは、資源やエネルギーを他の世代のために温存し、子孫や地球環境を共有する他の生き物に「譲り」と言う態度だと言えるでしょう。

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