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2009年1月12日 (月)

908 伝統産業

持続可能な産業として、何も新たな産業を無理に考え出す必要はありません。その地域に昔からあった生業(なりわい)を再度掘り起こせばよいだけです。多くの地場産業は、江戸時代にその基盤が固まったものが多いと想像できます。長年に亘って戦乱が殆ど無かったこの時代に、人々は多くの産業を興しました。自生していた漆を使った塗り物、質の良い陶土を活用した焼き物や瓦産業、コウゾやミツマタの樹皮を使った和紙つくり、木材生産や木工業、酒や醤油などの醸造業、砂鉄や手掘り鉱山からの少量の鉄や金銀銅の生産、イグサが良く育つ地域での畳表の生産などなどです。地域に寄らない普遍的な産業としては、里山の雑木から作る薪炭生産や、ワラや竹やスゲなどを使って日用品を作る手工業などがあったでしょう。勿論、主食である米や、中山間地での雑穀つくりや木こり(つまりは農林業ですが)は、もっとも普遍的な産業でした。

しかし、いまやこの国では、この漁業を含む第1次産業の占める人口割合は、なんと5%台まで落ち込み、その一方で第3次産業は70%に迫っています。工業は自動化が進み、一人当たりの生産性こそ向上しましたが、狭い平野と急峻な山地という地形的な制約もあり、林業の機械化や田畑の圃場整備ができにくい日本では、農業の生産性は頭打ちになってしまいました。加えての農林業従事者の「超高齢化」があります。

しかし、自然の材料を使ったベーシックな日用品の生産や土地ごとに特徴のある食糧生産は、どの時代になっても必要な産業である事は間違いないでしょう。中国産の100円商品は、やはり「安かろう、悪かろう製品」でしかありません。使い捨てに近いもので、ゴミを増やす原因そのものです。手を掛けた工芸品は、修理が利きます。例えば、漆器なども塗りが剥げても、何度でも修理が可能です。伝統産業は、長い時代のフィルターを通過して確立したものなので、真面目に取り組めば、現代社会でも十分通用する産業だと言えるでしょう。この冬、車産業から放り出された人たちのたとえ一部でも、この方面に移っていくことを期待しています。

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