« 989 時はエネなり | トップページ | 991 まとめ2(脱エネ) »

2009年4月 4日 (土)

990 まとめ1(モノづくり)

ここで「モノづくり」の本質を再度まとめてみようと思います。よく工場での「モノ造り技術」などが議論されますが、投稿者の辞書には実は「「モノ造り」などは載っていません。なぜかと聞かれればそれは、モノ=物質は元々全てがこの地球上に揃っていたからだと言うしかありません。

例えば、製鉄所では鉄を作っているのではありません。元々地球の岩石に多量に含まれていた鉄分が、気の遠くなるような永い時間をかけて風化され、海中に溶け込んだ多量の鉄イオンがあったのです。地球が冷却するにしたがって、海の浅瀬に「ストロマトライト」という酸素を出す生物が繁殖し始めました。「ストロマトライト」が出す酸素は、鉄イオンを酸化し、酸化鉄に変えていきました。酸化鉄になった鉄は、最早海水に溶けていることができなくなって、やがては海底に沈殿していったわけです。その堆積物が、場所によっては数百メートルもの厚みになったのですが、ラッキーな国であるオーストラリアやブラジルでは、その堆積層が数億年の時を経て地上に顔を出しているという次第なのです。敢えて言えば、植物の祖先であるストロマトライトが、長いながい時間をかけて鉄鉱石の純度を高めておいてくれたお陰で、今の製鉄業が成り立っているだけなのです。それ以前には、人類には川が鉄分の多い岩石を風化して作ってくれた「砂鉄」しか鉄資源としては使えなかったわけです。

その意味で製鉄所とは、その酸化鉄を、これも「植物様」の化石遺産である石炭(コークス)を使って還元し、単に金属鉄に戻している「還元場」に過ぎないと言えるでしょう。その代り、コークスに含まれていた炭素(というよりコークスはほとんど炭素の塊なのですが)が酸化されて、多量の炭酸ガス(二酸化炭素)となって高炉の煙突から大気に捨てられ続けてもいるのです。アルミの工場も事情はまったく同じです。酸化アルミナ(身近な例では陶土がその代表ですが)であるボーキサイトを、大量の電力を使って精錬しなければならないので、アルミ1g当たり製造に1円程度の電力コストがかかると言われています。この過程も、まさに酸化アルミナの還元工程に他なりません。

一方で、これらで精錬された金属を、切ったり、曲げたり、溶接したりするいわゆる「加工」も結局はモノの形を変える行為に過ぎません。つまり、工場とは実はモノの形を変える「加工場」のことで、モノ造りとは「モノの形を変えるだけの行為」でしかなかった、との結論になります。重要な問題は、金属の精錬(還元)やその加工には多量のエネルギー消費と、精錬で不用になった廃棄物(鉱滓)や炭酸ガスが必ず多量に排出されるという事実なのです。それがモノづくりの本質だと言えるでしょう。

|

« 989 時はエネなり | トップページ | 991 まとめ2(脱エネ) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 990 まとめ1(モノづくり):

« 989 時はエネなり | トップページ | 991 まとめ2(脱エネ) »