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2010年4月18日 (日)

1129 窒素循環

持続可能であるという事は、物質についてみればそれが永遠に循環しているという事を意味します。ここでは、物質としての窒素を取り上げてみます。窒素は、大気の80%を占めるもっとも豊富なガスであると同時に、アミノ酸やたんぱく質の形で、あるいは多くの有機物質を構成する元素として、生物体にも不可欠の物質でもあります。というよりは、窒素無しには生物自体が存在し得なかったとさえ言えそうです。なぜなら、炭化水素や六角形のベンゼン環の単純な構造だけでは、複雑な生物が発生する事には無理がありますが、窒素が入り込む事により、5角形の環やアミノ酸を形成する分子のブリッジとして働き、単純な元素(CHN等)から、考えられないほど多用なアミノ酸や有機物を生み出す事が出来るからです。

さて、その窒素は環境の中で見事に循環しています。例えば、根粒バクテリア等の微生物は、空気中の窒素を生物中に直接取り込む働きがあり、それを取り込んだ植物(例えば豆類)はアミノ酸の集合体であるたんぱく質を作り、動物に食糧を提供します。それを、体内に取り込んだ動物たちは、そのたんぱく質を筋肉など、体を構成するために使ったりエネルギーに変えたりして動き回ります。しかし、寿命を全うした動物たちは、息絶えて土に戻り、さらに分解されて窒素ガスにと戻る循環を繰り返します。それは、生物が発生して何億年も、この「物質的には閉じた」地球上で繰り返されてきた循環でした。地球上に存在する窒素の総量は、太古の昔から全く変わらずに、その循環を繰り返してきた事は、信じられないほどの奇跡にも見えます。

食物連鎖の頂点に立つヒトでさえ、この循環からは逃れられません。天国に旅立つという事は、煙になって「大気に戻る」という事に他なりません。私たちが、呼吸している空気の中に含まれる窒素分子は、果たして何度生命体に取り込まれて、何度生命の循環に使われて来たのかを考えるだけで、体内に取り込む空気に愛しささえ感じてしまいます。これは、殆ど環境坊主に特有の「環境病」の症候群の一つと言えるかも知れませんが、しかし苦痛も無く楽しい症状ではあります。

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