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2010年4月20日 (火)

1130 炭素循環

窒素循環も重要ですが、それより何より炭素循環が最重要である事は間違いないところです。炭化水素こそ、地球上の全てのバイオマスや、殆どのエネルギー源の骨格となっているからです。例えば、植物(樹木)の骨格であるセルロースはほぼ純粋な炭化水素で出来ています。加えて、生物のエネルギー源である太陽光も、炭化水素(栄養学では炭水化物とも呼ばれます)の形で固定されたものを殆どの生物が利用しています。植物は、葉で固定した炭水化物を、根に蓄えたり子孫を残したりするための実や種の中に濃縮して蓄えます。動物は、植物が固定した淡水化物を、食糧として体内に取り込み、体の組織を作ったり、運動したりするためのエネルギーとして利用しています。

植物や動物の体を構成していた炭化水素は、その死とともに朽ちて分解され、最終的には水と炭酸ガスに戻るでしょう。炭酸ガスは、大気中にしばらく留まるでしょうが、やがては植物の光合成のために、葉にある気孔から取り込まれ、あるいは根から水に溶けた炭酸ガスが直接的に取り込まれ、植物の成長に使われる事になります。1個の炭素原子に着目すると、その原子は地球の数億年の生物の歴史の中で、一体何回植物や動物に取り込まれ、何回大気中に放出されたのか、想像するだけで気が遠くなります。もちろん、その気の遠くなり方は決して不快なものではなく、むしろ気の遠くなるような心地よさだと言えるでしょう。

しかし、地球の長い地学的な活動の中で、必然か偶然かは分かりませんが、地中深く固定された大量の炭化水素が存在しました。いわゆる石炭や石油などの化石燃料です。「など」というのは、その成り立ちや、現在の固定状況を含めて、非常に多用な固定のされ方をしているので、一くくりには出来ないからです。石炭でさえ、良質の瀝青炭ばかりでなく、褐炭や亜炭や泥炭あるいは石炭化の前段階であるピートモスなどが存在します。石油も、その性質は油田によって大きなバラつきがあり、軽質油や重質油、あるいが砂と一緒に採掘されるオイルサンドなどがあり、また多くの場合は一緒に天然ガス(一般には石油ガスと呼びます)も産出します。この、本来は炭素循環に加わっていなかった炭化水素が、産業革命以降の人間の活動の結果、大量に炭素循環のサイクルに送り込まれ続けているのです。その全地球的影響の評価が、単に温室効果メカニズムだけによる、温暖化問題だけで説明でき、エネルギー使用量の抑制だけで、その負の影響を回避できるなどとは、楽観的で単純な頭しか持たない投稿者でも、とても信じられないのです。むしろ、温暖化は多くの環境問題の一つに過ぎないか、あるいは最悪の環境悪化の序章に過ぎないとさえ思えるのです。

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