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2010年4月24日 (土)

1132 鉄循環

多くの無機質(ミネラル)の内で、鉄(Fe)の循環が最大で、しかも最重要ではないかと思っています。鉄は、ほぼ全ての元素と結び付いて存在する酸素(O)や岩石を構成するシリコン(Si)を除けば、アルミニウム(Al)に次いで最もありふれた元素ですが、自然界ではもちろん純粋な形で存在する事は稀です。鉱床中の酸化鉄や金属化合物や鉄イオンとして水中に存在します。太古の海水中にイオンの形で存在した膨大な量のFeは、浅瀬に生息するストロマトライトという生物(現在でもオーストラリアなど限られた地域では観察されます)が放出する酸素で酸化され、酸化鉄として海底に分厚く沈殿し、長い年月を経て現在採掘されている様な鉄鉱床を形成しました。その厚さは、厚いところでは数百メートルにも達するほどです。

一方で、隆起して山脈になった、鉄分を含む岩石からは、風化によって常に鉄分が流出し、川を経て海に流化します。しかし、生物の循環に最重要なのは、実は上記の無機鉄ではなく、フルボ酸鉄など、キレートを形成して「水に溶けている鉄分」なのです。その供給源は植物であり、それを利用する主たる生物は、プランクトンや海藻など海に繁殖する「植物」という事になります。それらを摂食する海の動物(多くは魚類です)は、実のところ山の木が育んでいると言っても過言ではありません。賢い先人達は、山林は単に水源を涵養するだけでなく、樹木(広葉樹です)が海の生き物を育んでいる事に、間違いなく気がついていた筈です。だからこそ、この国の2/3を占める山林の、およそ半分ほどは人間の手が入った「半人工林」になっているのです。

しかし、不思議な事は、例えば植物のエネルギーを生み出す葉緑素(クロロフィル)が直接的にFeを利用している訳でありません。葉緑素の中心となり、触媒的に働く金属元素は、実はMgだったりします。植物の持つ、気の遠くなるよう年月をかけての知恵は、ただただ不思議で、驚嘆するしかありませんが、結局のところ鉄循環のスタート点は、植物の葉が枯れて臨床を形成する腐葉土から染み出るフルボ酸などが、土中の鉄分を加えこんで、川を経て海に流れ下り始めることだと思われます。鉄が、植物の必須ミネラルとしてどの様に作用しているか、活発な研究を期待しています。

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