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2010年4月26日 (月)

1133 栄養塩類

栄養塩類とは、要は肥料と考えれば良いでしょう。つまり、植物の必須栄養素であるNPKなどを含む塩類を指します。これらの塩類は、比較的重いので、海水に溶けると海底近くに滞留し易くなります。しかし、これも自然環境の巧みさですが、海洋には深海の底を這う様な海流も存在するのです。とは言いながら、その流れは海面で見られるいわゆる海流とは異なり、非常にゆっくりとしか流れてくれません。従って、大きな流れになると、1サイクルの完結になんと千年以上の年月が費やされる事になります。水の流れですから循環を形成しており、必ず沈み込む流れと、湧き上がる流れが存在します。以前の投稿で、「熱塩循環」として、主に気象に及ぼす影響について書きましたが、ここでは湧き上がった栄養塩が、植物プランクトンを育むという話になります。

主に熱塩流が深海から湧き上がるのは、北大西洋、北太平洋やインド洋になります。もちろん、湧き上がった栄養塩は、海面近くを流れる海流にも巻き込まれますので、広く海洋にばら撒かれる事になります。これらの流れに無関係な海域(サンゴ礁の無い南洋の海など)では、一見青く澄んで美しいのですが、殆ど生物の影も見られず、いわば死んだ海域(海の砂漠)とも呼べる状態になります。湧き上がった栄養塩の豊富な海では、それを栄養とする植物プランクトンが爆発的に増殖し、結果として魚類や大型の海洋哺乳類を引き寄せます。ではこれらの栄養塩類は、どこから供給されるのでしょうか。どう考えても、PNは動物(の死骸)から、Kは植物の腐植からと見るのが自然でしょう。これは、鉄分の供給源とも共通していますので、どこまで行ってもやはり植物の偉大さは変わりません。残念ながら、この方面の研究は結構少ない様なのです。理由は簡単で、こんな研究では儲からないし、研究者もメシが食えないからなのでしょう。

改めてこの数回で、いくつかの循環について考えるにつけ、自然のカラクリには一々驚嘆させられる事ばかりです。それらの微妙な自然の循環への最大の危機は、実は私たち人類が日夜行っている「文明活動」そのものである、という点については、率直に認めざるを得ないでしょうし、投稿者はその危機感故に自分の非力を感じながらも環境坊主を目指しているのだ、といっておきます。

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