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2011年5月27日 (金)

1389 隠す

放射性物質は、危ないので絶対に何重にも遮蔽容器の中に隠し続けなければなりません。それらが入った窓のない建物も最終的な目隠しです。この建物に入るためには、厳重なゲートと、たぶんセキュリティが掛かった何枚かの扉を通らないと、制御室などの中枢部分には入れないでしょう。体質として、原発は世の中からは隠し続けなければならないモノを抱えているシステムだと言えるでしょう。

とはいいながら、今回の事故のごく初期の対応に関しては、絶対にその真実を明らかにする必要はあるでしょう。想像するに、発災のごく初期には、原発設備自体の保存を考えたでしょう。しかし、炉心を冷やすための手段が全て絶たれた段階では、専門家はすぐに炉心溶融を思い描いたでしょう。しかし、残念ながら彼らは炉心溶融を「知識」として知っていただけでした。彼らの中にチュルノブイリを視察したスタッフが何名かいただけでも事態は少し変わっていたかもしれません。初期の段階から廃炉さえ厭わなければ、打つ手は他にもあったはずなのです。

水素爆発があった時点で、それ以前にメルトダウンが起きていたのは、専門家には常識だったはずです。何人かはそれを指摘していたでしょうが、何重にも隠された炉心の中の状況は「確認できない」ため、T電はつい最近までそれを認めようとはしませんでした。2000℃にもなるマグマは、鉄やコンクリートのバリアなど容易に溶かしたり、破壊したりしてしまいます。このマグマと水が接触すれば、水が酸素と水素に分離して、バリアの隙間から漏れ出し、水素爆発を起こすにはそれほど時間はかからなかったでしょう。このプロセスの時間を追った正確なトレースは、動き続けている原発の更なる安全対策のためには、絶対に必要な事でしょうし、もしコストを掛けてそれを忠実に行うなら、原発は経済性の観点から「消え去るべきエネルギー」だと言うしかなくなるはずです。

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