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2011年8月17日 (水)

1466 戻す努力

エントロピーの法則を持ち出すまでもなく、物事はより安定性の高い方向へ不可逆的に進みます。高い温度のモノは冷えて、周囲温度と同じになろうとするし、ゴミの始末を放置すれば必然的に「ゴミ屋敷」が誕生します。整然よりは雑然の方が、よりエントロピーが増大し、安定するからです。先人は、しかしささやかですがそれに人力で逆らってきました。里山や深山に分け入って、自然のままの森林に手を加え、落葉樹を植えて水源を涵養する努力をしてきましたし、その下には棚田を刻んで、人工のミニダムを築いてもきました。

山の手入れを怠れば、林床に日が差さなくなり、土壌の固定が出来なくなり少しの雨で土砂が流出するでしょうし、棚田の維持を怠れば、石垣が崩れ、林地も新入してきて雑木林に戻る事でしょう。人間が作り上げた生活を維持するためには、必要な事は、この自然(混沌)に戻る事への不断の抵抗しかないわけです。戦後の時代は、多大なエネルギーと重機を使い、山の奥深い場所にまで林道を刻みましたが、そんなものは多分10年に1回くらいの豪雨で、簡単に崩落する程度のモノでしかありませんでした。多大なエネルギーをつぎ込んだインフラは、やはり多大な維持のエネルギーも必要とするのです。

戦後この国で、莫大な税金を注ぎ込んだインフラは、今その維持にやはり莫大な税金を要求し続けているはずです。少し山に分け入れば、立派に舗装された林道が、あちらこちらで崩落し、落石がゴロゴロしています。多くの橋は老朽化し、港湾のインフラもやはりメンテナンスを求めています、ダムは土砂に埋まり、公共の建物にもとうに寿命が尽きたものも多いのです。これらを造り替えるのか、或いは取り壊して更地に戻すのか、一度立ち止まって考えてみる必要はあるでしょう。

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