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2011年11月10日 (木)

1540 ナノテクの幻想 

 

ナノテクは一時の流行語でした。でした、と書いたのは、最近少しトーンダウンしたと思うからです。しかし、当然の事ながら研究所レベルでは、日夜深く静かに研究が進んでいるとも想像しています。ナノテクが嫌いなのは、それが目に見えないからです。目に見えないものは時として非常に危険でもあります。例えば、5ミクロンより小さな物質は、喉や気道の繊毛にキャッチされないまま、肺の奥深くにまで入り込みます。

 

前端が尖った硬い繊維状態になっている石綿は、肺組織に変性を誘発し、時にはガン化を引き起こします。では丸いナノテク粒子が安全かと問われても、現状では誰も自信を持っては答えられないはずです。何故なら、そんな粒子が地上にある密度で存在した試しがないからです。黄砂や火山灰や花粉はずっと大きな粒子ですが、人体にかなりの程度の影響を与えます。ナノテク粒子は、空気中では気体分子のブラウン運動により、沈降速度が極端に小さくなるので、非常に長い時間空中に留まるでしょう。その影響も長く続く訳です。

 

ナノテク粒子の扱いの開始には、少なくともその吸引によって、人体に悪影響の出ない事を綿密な検証によって確認されていなければならないのです。しかし、例えば石綿の場合、日常的な吸引からガンなどの発症に至るまで数十年というケースもある事を考えれば、基本的には吸引が絶対起きない状況でしか扱えないと思うのです。一方生物は、間違いなくナノ分子を上手く利用しているのでしょうが、それは多くの場合「ナノコロイド」など、水に溶けた状態での利用でしょうから、それが悪さをする可能性は殆どない筈です。ナノ粒子の安易なドライ状態での扱いは、くれぐれも戒めたいものです。その意味で、生物が持つ素材やメカニズムの真似は、多くの場合安全です。

 

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