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2012年3月 4日 (日)

1653 ロボットの限界

続きです。職人から手仕事を奪った張本人として「ロボット達」を挙げる事も出来るでしょうか。しかし、所詮ロボットごときに、人間の手仕事が真似できるはずもありません。例えば、人間の指先は数ミクロンの段差や傷を感じる事が出来ますが、ロボットの位置決め精度でさえそれより2桁か3桁くらい劣るでしょう。ロボットには、逆立ちしても米粒の上に、文字や絵を描く芸当はできない相談なのです。また、人間の柔らかな指や腕は、数グラムから数十キロまで、状況に応じた力を出すことが出来る優れたアクチュエータでもあります。私たちが持つ筋肉というアクチュエータは、出力を出す筋繊維の中にセンサーも内蔵していると言う優れものです。つまり、作業の中で「手加減」が出来る訳です。

いまどきのロボットで出来る事は言えば、精々卵を割らずに移動できるとか、人間の5本指を模倣し、指先に圧力センサーをくっつけたレベルのアクチュエータが作れたと、喜んでいる程度なのです。しかし、コンパクトに作られた関節には、間違いなく精密に作られた小さな歯車が入っているので、その華奢な厚みの歯車では、数キロの荷重持ち上げるのが精一杯でしょう。一方、動力は電動モーターですので、もし自立して移動させようとすれば、とてつもなく重いバッテリーを持ち運ばなければなりません。結果として見れば、いま本当に困り切っている原発事故現場で、実際に役に立っているロボットが無いと言う情けない状況から脱していません。

技術者がどんなに頑張っても、バッテリーの何倍もパワーを蓄積でき、何分の一も軽いパワーパックと、人間の筋肉にも似た、センサー内蔵のアクチュエータを実用化できない限り、今後ともロボットには単純なモノの移動や溶接やペンキ塗り程度の単準作業からは脱出できないでしょう。手間暇と莫大な開発費を掛けてあまり役に立たないものを開発するくらいなら、人間をトレーニングして、立派な技能を持った人材を育てる方が、どれほど世の中の役に立つことでしょう。

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