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2013年4月 4日 (木)

2035 髙くても売れるモノ

まさに「値上げの春」です。これは考えてみれば久し振りに聞く言葉の様な気もします。かつての高度成長期には、毎年春になると値上げと賃上げのイタチごっこが繰り返されていました。多分賃上げが先で、給料が上がったのだから、製品や材料やエネルギー価格の値上げは当然とばかり、堂々と値上げのアナウンスがなされていた様な気がします。勿論その中には、多くの「便乗値上げ」が含まれていた事は間違いありません。

しかし、2034にも書いた様に市場にお金をダブつかせるだけでは、この国の実質的経済は決して浮上しないでしょうし、トリクルダウンなどという言葉も、政治家や経済学者の方便に過ぎなく、実質的な庶民の実入りも言う程増える筈もありません。また、安い輸入品(原材料や部品、工業製品、農作物など)に慣れきってしまった生産者や消費者は、同じモノなら今より高く買おうとは思わないでしょうし、それよりなによりモノは既にほぼ充足している訳です。ふと気が付くと私たちの身の周りは、安い輸入品で埋め尽くされていたという状況なのです。しかし、円安に誘導される形で、これらの輸入品は間違いなくかな値上がりするでしょうし、連鎖的にエネルギーを始め、あらゆる製品や商品に波及する事になります。結果として、値上げや増税に挟み付けられる消費者はと言えば、自衛のために相変わらず海外から入ってくる安い輸入品を買い続けるでしょうし、国内の産業は空洞化し続けると思われます。

その悪しき連鎖を断ち切るには、何にも増して「知恵や工夫や地道な努力」を積み重ねるしかないのだとも思います。例えば、高くても売れるモノを作る努力をする事が挙げられます。今手元にある「爪切り」は、若い頃長引いてしまったドイツ出張中に伸びた爪を切るためにホテル内のショップで買ったものでした。1マルク110円位のレートの時代、そのゾーリンゲンで作られた爪切りの値段は、なんと20マルク(2000円以上)もしました。そこ頃のサラリーが多分10万円前後で、ビジネスクラスだったとはいえ、ヨーロッパ往復の航空運賃が75万だった遠い昔の話です。そのバカ高い爪切りは、しかし40年も経った今も、手元で快適に使えています。もし、今後切れなくなっても、メーカーに持ち込めば喜んで研磨してもらえ、新品同様に蘇る筈です。これほど価値のある「本物」の爪切りは、多分この国のメーカーでは作ろうとしないでしょうし、多分今の時代背景では売れないかも知れません。しかし、かなりの努力は要るのでしょうが、私たちはこの様は「高くても売れる本物」が堂々とまかり通る社会にするしか、この国のモノづくりが浮き上がる道は無いのだと思い定めるべきでしょう。

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