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2013年4月21日 (日)

2052 バイオガス発電の課題

三陸K市で計画中のバイオマスのガス化発電所計画について、元技術屋として「気になる点=リスク」についてまとめてみます。発電設備の詳細を聞いた訳ではないので「ガス化発電」というKWからの想像での感想と言うことになります。

さて、先ず原動機がガスエンジン(レシプロ)であるにせよ、ガスタービンであるにせよ、一番の問題点は回転数の安定だと言えます。そこが、バイオマスの発電利用への最大のポイントだと言っても良いでしょう。つまり、発電機は60Hz(又は50Hz)に対応した然るべき回転数(一般的には周波数の整数倍)で安定的に回転させる事が出来なければ、系統連携はおぼつきません。そのためには、先ず燃料の性状の安定と、回転数を安定させるための仕掛け(ガバナーと呼ばれます)の良し悪しで勝負が決まります。ガス化ではなく蒸気タービンを選択した場合は、効率は下がりますがボイラという蓄圧器があるので、上記の持つ(内部)エネルギーが安定化していると言うメリットを内在しているのです。しかし、バイオマスを乾留したガスの熱量が安定しているとはあまり想像できません。

問題は、そのガス化炉です。原料は木材チップですが、そのチップこそが条件を揃えるには非常に苦労する元凶になる訳です。先ずは水分のバラつきがあります。屋外に積まれた原料を破砕しても、材種ごと季節ごと日ごとにチップ中の水分率は異なるでしょう、また燃料としては質が落ちる樹皮(バーク)がどれほどの割合で含まれるか、によってもガスの持つ熱量は大きく(例えば数倍)は異なります。ヨーロッパで成功している事例を眺めてみると、多くが性状の安定しているホワイトチップ(針葉樹で樹皮を含まないチップ)を使っている様なのです。メーカー側は所定のプラント性能が出ない場合、設備側の瑕疵ではなく、燃料の質が悪いと主張する事もありがちなのです。

もう一つの問題点はガス化発電設備は、立派な「化学プラント」であると言う点です。プラントの性能を維持するには、そのプラントを良く知る技術者が深く関わる必要があるでしょう。単なるオペレータでは用が足りないのです。つまり、例えばプラントがタールやその他の不純物で汚れた場合、プラントパラメータのバランスが崩れ、出力が低下するばかりではなく、時には危険な状況さえ出現する事にもなり兼ねません。その意味で、いきなり数百キロワットレベルのプラントを作るのではなく、先ずは数十kwレベルの小型プラントで、運転パラメータを固めてから、スケールアップを図るなどステップを踏んだアプローチが欠かせないのです。彼のK市のプラントは800kwレベルで、集まってくる木材も何種類もの材種が混合している様なので、上記のリスクを頭において計画を進める必要がありそうです。プラントが動き出してすぐに受け取るのではく、半年か1年位(つまりは季節変動を織り込んでの安定性の確認期間)はメーカーの技術者を張りつけるなど、慎重な契約条件も必須でしょう。

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