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2014年3月23日 (日)

2340 絶対安全は幻想

2339で言いたかった事は、全ての製品や機器は、安全性と経済性のバランス(というか妥協の産物)の上で作られていると言う事実なのです。メーカーで長年モノづくりに関わってきた元技術屋として、それは断言できます。例えば、もし絶対安全な旅客機を作ろうと思い立った技術者は、それが「絶対に無理」である事に気が付くでしょう。何しろ、搭載する機器には全て2重3重のバックアップシステムを搭載する必要がありますし、構造に関しても何倍もの安全率を見込まなければならないのですから。多分、そのような機体は重くて飛び上がれないか、あるいは機内が安全装置だらけで、客を乗せるスペースが無いか、いずれにしてもこの飛行機が原因で、客が命を失う事は無い訳ですから、絶対安全な航空機である事は間違いないでしょう。

もちろんこれは冗談話なのですが、真実も含んでいます。、ハンドルに手を触れずとも目的地まで連れてってくれる実験的な車が作られていますが、そんな危ないものが走り回る道路には、手動の車では入れないでしょう。何しろ自動運転の車は、手動で走る運転者の行動まで予測しなければ、(衝突しない)最適のコースを選べない訳で、その様な事は土台無理な話なのです。絶対安全な自動運転車を作ろうと思えば、それは、鉄道の様に決められた軌道の上を動かすタイプにならざるを得ないのです。そうでなければ、2次元上とはいえ無限の進路を取り得る車のコースが、他の車のコースと同時刻に交わること(つまりは衝突です)は原理上防げないからです。

航空機にしても車にしても、絶対安全なものは事実上飛ばない飛行機、動かない車しか存在し得ない事はお分かりいただけるでしょうが、では原発はどう考えたら良いのでしょう。私たちは、電源が完全に失われ、冷却水が途切れた場合、炉心がメルトダウンしてしまう恐ろしさはFクシマで嫌と言う程見せつけられましたが、では非常用発電機を高い所に移し、津波が入ってこない様に擁壁を設けて、あるいは非常時のフィルターベントなどを追加するだけで、原発の「絶対安全」は担保されるのでしょうか。間違いなくそれはNOと言うしかないでしょう。どんな過酷な事故にも耐える様な格納容器は、事実上「経済的には」作れないからです。フィルターベントに至っては、炉内圧力異常上昇時の消極的な対策に過ぎません。つまり、絶対安全な原発とは、飛び上がれない飛行機と同じように、安全装置や防護壁が巨大になり過ぎて、事実上は作れない、運用できない発電所になってしまうのです。結局、絶対安全な原発とは、炉心や燃料プールから核燃料を全て抜き取った状態(つまりは廃炉です)しかあり得ないのです。でも抜とった使用済み燃料や未使用の燃料棒は一体何処に持っていくのしょうか。多分燃料プールに入れたまま、子々孫々にわたって何千年もお守りし続けなければならないのでしょう。残念ながら、そのあたりの想像力が、この国のリーダーには全く欠如しています。もちろん、またぞろ言い出した核燃サイクルなどは「Kusokurae!」です。

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