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2014年7月10日 (木)

2439 利便という災難

私たちは、便利で快適であると言う生活を求め続けてきました。基本的な生活においても、衣食住に亘って、かつての不便を便利に変えて来たと言えるでしょう。着るものに関して言えば、かつての着脱に不便で着心地の悪い和服から、便利な洋服へ、さらにはもっと便利は伸縮素材によるフィットする衣服へ改良してきたのでした。それは形に留まらず、吸湿や保温や放熱や消臭など繊維にも機能を持たせても来ました。宇宙では、洗濯や入浴も無しになんと半年も暮らしている様です。

食については、変化に枚挙に暇がありません。大昔のご先祖様たちは、十分な食糧を得るために殆どの活動時間を費やした事でしょう。それが、収量の高い作物への品種改良や農業技術の革新によって、ごく少数の農家が信じられない程多数の食卓を支えています。一方で、食品自体も殆ど調理済みの加工食品が主流となり、その割合は年々高くなっている筈です。事実B国などの食卓では、電子レンジでチンしさえすれば「普通の」食事がとれる様に食品が加工されているのです。

住居はどうでしょう。冬の寒さをしのぐには、昔は囲炉裏や炭火程度しかありませんでしたが、今や全自動のエアコンや石油ストーブがそれにとって代わっています。住宅の断熱・気密性能も年々向上し、快適さは更に増してきています。また移動に関しても、兎に角歩くしかなかった時代に比べ、僅かな距離の移動にも車やバスを使う生活スタイルが普通になってきました。

しかし、これらの利便や快適さは、間違いなく私たちの生きる能力を弱体化させてきた事もまた間違いないでしょう。快適な衣服や住宅は体温調節を弱め、低体温の人や熱中症になり易い子供達を増やしてきた筈です。高度に加工され、柔らかく、食べやすくなった食物は間違いなく、咀嚼能力を奪い、顎や葉を華奢に変えた事でしょう。住宅に至っては、今や個人で建築しようなどと考える人は稀で、基本的な大工仕事の能力さえ、まともに出来る人は激減したのでした。歩かなくなった体は、足腰も弱り、結果としての寝たきり老人を増やし増やし続けています。私たちは、なんと体はひ弱になり、基本的な生存能力も低下してしまったことでしょう。ここらで、私たちは敢えて不便を選択し、体を鍛え、サバイバル能力を磨く必要がある、退化に逆らう時代になってしまったと思うのです。利便は、人類に降りかかった災難だと見るべきでしょう。

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