« 2444 前向き  | トップページ | 2446 技術を見て、市場を見ず »

2014年7月16日 (水)

2445 ファームとオプション

国際的な商取引の「常識」を確認しておきたいのですが、ある製品の売買契約においては、ファーム(確定数量)の他にオプション(キャンセル可能数量)に分けて契約される場合も多いのです。半世紀ぶりに開発された国産の旅客機が、360機も売れたとか、いやまだ180機しか契約が取れていないと言う「二重報道」もこのカラクリによって生まれます。オプション契約とは、例えば経済状態が悪化して、エアラインが減便を検討し始めた段階では、無条件でオプション分はキャンセル出来る条件になっている筈なのです。

つまり、確定締約と言う意味ではファーム契約のみを指し、上の国産機の場合では180機が「固い数字」であり、残りの180機は実際に売れるかは「未確定の数字」だと言うしかありません。航空機業界に限らず、国際的な経済状態は流動的であり、リーマン社から始まった経済ショックを引き合いに出すまでもなく、小さな経済ショックが世界全体を揺さぶる可能性を孕んだ、危うい状態にあると言えるでしょう。というより、国際的な経済システムとは、ピースがお互いに支え合っている巨大な積み木か、あるいは大小のドミノ牌が入り混じった巨大ドミノにも似ていると思うのです。ある国の債権や企業の債権や株などが、複雑に入れ子状態に組み合わされて、新たな別の債権に仕立てられている状況は、経済の素人の想像をはるかに超える複雑さと規模を持っている筈なのです。

さて、私たちがどう考え行動するかですが、やはり現物と実体に裏打ちされたファームだけを見て判断を下すべきなのでしょう。そうではない、水増しされた見込や期待値を当てにして判断を下した場合、経済ドミノが倒れ始めた場合には、歯止めが利かない状態に陥るからです。経済システムがドミノ的だと仮定して、そのドミノ列のところどころには、薄っぺらいピースではない、小石の様な固い(ファームな)ブロックを仕込んでおくべきなのです。そうしておけばドミノが倒れる負の連鎖は、一旦はそこで止まるはずなのです。止まっている間に、何か別の手を打つ時間が稼げるでしょう。オプションなどという架空の数字を見るべきではありません。あの国産旅客機は、まだ180機しか注文が取れていないのです。この国の技術史には確かに技術的には素晴らしかったが、たった180機余りしか売れなかったYS-11という名機がありました。今度の旅客機がその二の舞にならない事を願うばかりです。

|

« 2444 前向き  | トップページ | 2446 技術を見て、市場を見ず »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 2445 ファームとオプション:

« 2444 前向き  | トップページ | 2446 技術を見て、市場を見ず »