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2014年11月 1日 (土)

2535 クモの糸と気球

仙台での講演会で、山形でクモの糸と同じようなタンパク質を工業的に作り、それを糸として紡ぐプロセスを実用レベルまで高めたS山さんの講演を聴講しました。その講演で、クモの糸こそが地上で最強の繊維である事も知りました。それは、カーボン繊維の何倍も強く、しなやかでもあります。そう言えば、その繊維で青いドレスを仕立て、名のあるビジネス誌の表紙も飾った事もあった事を思い出しました。クモの糸と言っても、ピンからキリまであり、同じクモでも縦糸と横糸ではかなり強度が違う様ですし、自分がぶら下がる命糸?がやはり最も強い様です。またクモの種類でも随分糸の品質?に差がある様で、川をまたいで巣を作るマダガスカル島だかどこだかのクモの糸が、最強の中の最強だと言う話でした。

しかし、確かにクモの糸の素晴らしい強度と、それと同等の人口繊維を作った氏の業績は素晴らしいのですが、講演の中で数人で起こした学生ベンチャーが60人規模まで大きくなってきた現在でも、経営判断の基準は「どちらが将来社会のためになるか」としているとのこと、若いにも関わらずなかなかの人だと感銘を受けました。

さてクモの糸が、最強の繊維だとして、ではそれを何に利用するかですが、仙台からの帰りのバスの中でつらつら考えて、一つの用途を思いつきました。まだサラリーマンだった頃、成層圏プラットフォームと言うプロジェクトに関わった事がありました。分かりやすく言えば、成層圏(約20㎞)の高度まで上げる気球の事です。これに無線局やカメラなどの観測機器を乗せて、超低高度のサテライトとして使うと言うものです。この気球は、低高度ではフニャフニャですが、上昇を続けるに従って、パンパンに膨れてきます。ラジオゾンデの様に単に伸縮性を持った素材の「風船」では、上空で破裂してしまうでしょう。しかし、風船を強靭な繊維で補強しておけば、ある限度以上には膨張しないで、高度が保てることになります。上面に膜状の太陽電池を貼りつけ、機器の電源と、位置がずれた場合に、プロペラを回して復帰する動力に使います。当時採用された史上最強の繊維はザイロン(XylonまたはZylon)という商品名の繊維でした。この時は、スケールダウンした試作機を打ち上げただけ終わり、結局ナショプロの俎上には載らず仕舞いだったのでした。

しかし、ザイロンの数倍強いと言われるクモの糸繊維があれば、さらに軽量化が出来、ペイロードも増やせるでしょう。問題は、この繊維の紫外線への感受性です。成層圏は非常に紫外線が強いので、繊維の劣化が早く進む筈です。繊維をこの紫外線から如何に遮蔽するかが重要なポイントにはなりますが、一発百億円を超えるロケットで衛星を打ち上げるか、あるいは1基数億円の気球をいくつか浮かべるか、この国の宇宙開発の方向を変えそうな繊維ではあります。4時間余りのバスでの移動中、久しぶりに楽しい妄想を膨らませました。

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島根大学の客員教授である久保田邦親博士らが境界潤滑(機械工学における摩擦の中心的モード)の原理をついに解明。名称は炭素結晶の競合モデル/CCSCモデル「通称、ナノダイヤモンド理論」は開発合金Xの高面圧摺動特性を説明できるだけでなく、その他の境界潤滑現象(機械工学における中心的摩擦現象)にかかわる広い説明が可能な本質的理論で、更なる機械の高性能化に展望が開かれたとする識者もある。幅広い分野に応用でき今後48Vハイブリッドエンジンのコンパクト化(ピストンピンなど)の開発指針となってゆくことも期待されている。

投稿: 地球環境直球勝負(GIC結晶) | 2017年8月 7日 (月) 21時46分

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