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2015年1月25日 (日)

2604 ローカリズム

言わずもがなですが、表題はグローバリズムの反語です。自由主義経済へ盲目的な追及を続けるとするならば、当然の帰結として経済のグローバリズムを進める必要があり、TPPなどのFTAの締結も必要となるでしょう。しかし、考えてみなければならないのは、国際的分業を進め、国際貿易を盛んに行うことが出来るのも、安い化石エネルギーが安定的に供給されると言う前提があっての話です。今日、多くの物資はコンテナ船や専用船(例えばタンカーとかLNG船とか穀物船とか)で運ばれる割合が圧倒的に多いのですが、夜間に飛ばすので目立ちませんが、航空貨物も急速にその量を増やしているのです。

それを支えるのが、船や航空機の燃料である石油ですが、船や航空機の省エネ性能が高くなってきたとはいえ、例えば貨物重量当たり、距離当たりに必要な輸送用エネルギーは、船舶と鉄道はだいたい桁が同じですが、航空貨物は一桁程度高くなります。また船舶と言えどもコンテナ船の様にスピードを重視する船舶では、省エネ性が犠牲になってしまいます。つまり、運ぶ原材料なり製品の単価を想定した場合、売値に対する輸送費が十分に低い時には、国際分業も機能するのでしょうが、例えば売値にしめる輸送費が、現在の倍になる様な事態を考えれば、グローバリズムには急激なブレーキが掛かるでしょう。最近の例では、少し前の石油高の時代、航空運賃に燃油サーチャージなる価格が上乗せされ、格安海外旅行にブレーキが掛かった事を思い出します。

一方、ローカリズムは自国内、あるいは地域内での地産地消を前提としますから、エネルギー価格の変化に対しては鈍感でしょう。というより、社会を一つのシステムと考えた場合、最も省エネ、省資源のシステムになる筈なのです。私たちは、世界を俯瞰する前に、先ずは足元を眺め、そこに転がっているローカル資源やエネルギーに着目しなければならないでしょう。過去には化石燃料や安い輸入資源に経済的に太刀打ち出来ないがために廃れてしまったものでも、化石エネルギーの価格には左右されない、安定した供給が出来るポテンシャルを持っています。少なくとも、数十年前までは実際にシステムとして機能していたのです。私たちは、少なくともそこに部分的でも戻れる「種」を残す努力をしなければならないでしょう。その種は、農林水産業などの1次産業の仕組みや、いわゆる伝統産業の中に見つかるでしょう。

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