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2015年4月15日 (水)

2682 水素社会は来ない2

多分二度目の同じ表題です。昨今国を挙げて水素社会に向けて突き進んでいる様です。しかし、石油時代と水素時代の間には、重大なインフラ変更が必要なのです。つまり、液体燃料は圧力の掛からないタンクに入れて置くだけで運べますが、常温で気体の水素はそうはいかないのです。例えば車で水素を燃料として使おうと考える場合、水素を350気圧以上に圧縮して頑丈なタンクに詰め込むか、あるいは水素吸蔵合金に吸収させて安定化する必要があるのです。当然の事ながら、タンクや金属である吸蔵合金は重い上に、結果として積み込める水素量が限られるので、後続距離はかなり短めになります。

安全性も大きな問題です。石油類も引火しますので、扱いは慎重にならざるを得ませんが、石油は液体の状態で漏れ、それが気化してガスになり、空気と混じり合って初めて危険な状態になります。しかし、目に見えない水素は、少し漏れただけで直ちに空気と混じり合い、静電気など僅かな火種で、大爆発を起こしてしまうでしょう。黒い石ころの様な石炭でさえ、粉状になれば「粉じん爆発」を起こしますが、石油さらに水素ガスと燃料が代替されるにつれて危険性も倍増していく事になるのです。

もう一つの要素は水素を何から作るかですが、現在は石油や天然ガスの炭化水素から得ているため、結果としては不要になった炭素は、結局CO2として大気に放出せざるを得ません。水素を燃料とするFCVは確かに排気管からは水しか出ませんが、見えない場所では大量の温暖化効果ガスを排出する事になります。それでは、水を電気分解して酸素と水素に分けて水素ガスを作れば良いとの考え方もありますが、何のことはなくその電力を使って直接に車を動かせば事足りる話になるでしょう。電気をわざわざ危険な水素ガスに変換して、頑丈なタンクに詰めて危険と隣あわせの水素ステーションで売る意味は全くないでしょう。エネルギー保存の法則から考えても、投入した電力エネルギー以上の水素エネルギーが得られる事はありませんし、むしろ変換ロスや漏洩によって、エネルギーの使いでは目減りする筈なのです。

以上から導かれる結論は、水素社会は未来永劫到来しないと言うものです。従って、今国やメーカーが血道を上げて水素自動車にまい進している姿を見ると、哀れに思えて仕方がありません。それは、さながらハツカネズミが回し車を回し続ける姿に似ているからで、確かに水素社会に向けて科学技術や莫大なお金を動かしてはいますが、実はちっとも前には進んでいないのです。

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