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2015年5月20日 (水)

2703 吹き溜まり

都会の木賃宿の悲劇が報じられました。この様な安宿は、かつては日雇い労働者のための宿でした。彼らは、衣食住をのうち特に住を安くあげる事によって、可処分所得を増やしていた訳です。彼らの多くは、炭鉱からの転職組であったり、地方からの農家の跡取りの出稼ぎか、あるいは二、三男が職を得た時の取り敢えずの宿であったのでしょう。世はまさに高度成長期で、仕事はいくらでもありました。朝、港近くの決まった場所に集まれば、やがてトラックがやってきて必要なだけ労働者を乗せて、その日の仕事場に送り込んでいったのです。その集合場所に近い場所に、雨後のタケノコの様に木賃宿が建てられていったのでしょう。

しかし、その様な単純な日雇い仕事は、時代の流れと共に減り続け、一方ではアルバイトや非正規労働者にとって代わられ、日雇い労働者の平均年齢はドンドン上がって行ったのでした。気がつけば、彼らも働くのが厳しい年齢になり、年金保険料も納めていなかったため、最終的には生活保護に頼るしかなかったことでしょう。かくして木賃宿は、それらの人々が身を寄せ得る唯一の場所、つまりは吹き溜まりとなってしまったのでした。

もちろん彼らにも故郷があり、その故郷にはある時期までは身寄りも居た事でしょう。しかし、長い年月を経るうち、親兄弟が亡くなり、音信も途絶えがちになったのでしょう。とは言いながら、一方で今その故郷は、何処でも深刻な人口減少に悩んでいます。空き家の数にしても、地域によっては何割という割合にもなってきているのです。都会の片隅の吹き溜まりで一生を終えるのか、はたまた自然に囲まれた田舎で、自分の食べる分くらいの畑を耕して、健康に天寿を全うするのか。どうにかして、彼らが元々の地縁の細い糸を手繰り、田舎への回帰を実現する上手い方法は考えられないものでしょうか。生活保護の財源があるのなら、それを移住支援に振り向ける事だって可能のはずです。

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