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2015年8月11日 (火)

2772 木を育てる文化

投稿の再開です。さて、この国で誇れる文化の一つが、連綿として続く木を育てて利用する樹木文化であると言っても良さそうです。古くは、縄文時代に柿や栗などの実のなる樹木を育み、稲作の時代になっても、田の水を涵養するために、急峻で水害を起こしがちな山々に広葉樹を植林したのだろうと想像しています。それらの樹木は、若い木は旺盛なCO2固定を行い、老木となれば用材や薪しても有効活用された事でしょう。用材としては、家や寺社を建造する事は勿論、多くの食器などの生活用什器や、農機具、更には仏像などとして、木の特性毎に工夫して使われても来ました。

農家は、もちろん春から秋までの間の農繁期は農業に勤しむ一方、農閑期や冬期は、ソリや馬般などを使って、山から用材を搬出する木こりや、あるいは山に籠っての炭焼きなどを副業としていた事でしょう。コウゾやミツマタの小径木は、更に特殊な目的に目的に使う工夫を導きました。和紙です。樹皮を剥いて水にさらし、叩解を経ての紙漉きというワザを生み出し、丈夫で年月を経ても劣化しない世界に誇るべき和紙を生み出したのです。更に、ろくろや細い木材を巧みに使った組木細工など工芸品も多様で豊富な木材の供給無しには成り立たなかった匠のワザでしょう。

とは言いながら、残念な事には私たちのその木を育てて利用する文化は、現在かなりの程度劣化している事は否めません。山にはすっかり人が立ち入らなくなり、手入れの行われなくなった山林はCO2固定能力を失い、荒れ放題となっていて、シカやイノシシ、クマなどの樹木にとっての害獣の天下となり果てているのです。望みはあります。ささやかながら、若い人たちが山に興味を示し、山に立ち向かおうとする動きも見えるからです。たぶん続きます。

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