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2016年9月17日 (土)

3121 技術慣性

慣性という言葉は元来物理用語です。もちろん、そうでない社会現象などでも喩えとして用いられる事はありますが、ここでは特に「巨大技術」について考えてみます。そもそも、巨大技術とはナショプロに俎上する様な大規模な技術を指しますが、具体的な例としては、核融合技術、宇宙ステーションとその関連プロジェクト、高速増殖炉、かつての一連の発電用原子炉実用化技術、核燃料サイクルなどなどが挙げられます。そこに共通する要素として、多額の国費の投入という事実があるでしょう。つまりは、国策プロジェクトである訳です。人間は、多額のお金を注ぎ込むと、それが惜しくなってくる様です。例えば、高速増殖炉には、1兆円を超える国費が費やされたと言われていますが、多くのトラブルを抱えながらも「廃炉」の決断が出来なかったのは、お金の慣性が強かったに違いありません。

この国には、似たようなナショプロも多かった様に振り返っています。投稿者が思い出すだけでも、まず原子力船「むつ」が挙げられます。原子力潜水艦が存在しながら、その原子炉を載せた商船が実現できなかったのは、技術的には実現可能ではあっても、その船が着岸できる港が無かったからに他なりません。港のある地域の住民が、原子力船の入港を忌避するのです。同様のリアクションは、米国の原子力空母や原潜に対しても示されたのでした。では、人工の太陽を目指す、核融合炉はどうでしょうか。これは、技術的な困難のために数十年にも亘って、巨額の国費を注ぎ込みながら、未だ慣性の目途は立って居ない様ですが、これも今更中止すると言う選択肢は、考えられない話なのでしょう。リニア新幹線は、無理やり感はありますが、どうやら実現に向かっている様で、宮崎の実験線、山梨の実験線や実験に投じた税金が無駄になるのは避けられそうですが、これは路線のインフラは巨額に上るのでしょう、車両自体の価格は航空機とあまり変わらないのが幸いしたのでしょう。

結局、技術的な慣性とは、そのプロジェクトに注ぎ込まれた税金の多寡によると言えそうです。1億円や2億円のプロジェクトであれば、見込が立たなければ中止するのも容易ですが、数百億や兆円という単位になると、そのプロジェクトに関わっている役人や従事者の「生活」も掛かってくる訳で、急には止まれなくなる訳です。それは、車は数十メートル停止できるでしょうが、列車であれば数百メートル、大型船に至っては1㎞ほども、その慣性による空走距離が必要となるのと似ています。

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