« 3241 用不用説 | トップページ | 3243 新規性と進歩性 »

2017年3月12日 (日)

3242 環境変化の幅

環境変化の幅を指して、私たちはしばしば「ストレス」という言葉を使います。例えば、殆ど温度変化の無い部屋にずっと住んでいると仮定すると、私たちには気温の変化と言うストレスが掛からない事になるでしょう。しかし、夏は35℃を超え、冬には零下に下がる地方が殆どを占めるこの国では、体に対しては結構な気温ストレスが掛かっていると言えるでしょう。もちろん、広く地球全体に視野を広げれば、砂漠地帯の様に、日中と明け方の一日の気温差(日較差)が50℃にもなる場所もありますから、この国でさえ比較的マイルドなストレスの地域だと言っても良さそうです。

もちろん、ストレスが全て悪い訳ではありません。それどころか、ストレスは必要だとさえ言えるでしょう。ストレスが無ければ、私たちの環境への適応力が弱まってしまうからです。宇宙空間に長期間滞在した宇宙飛行士は、多くの点でストレスフリーの「実験室内」に住む事になります。温度は、当然の事ながらほぼ一定です。もし、宇宙ステーション内の気温が、+/-5℃程度でも上下させているとするなら、かなり良い設計だと言っても良い程です。気温ストレスの他、湿度や重力のストレスからも解放されますので、体は怠ける一方になる筈です。加えて、「完全に」空調されている船内は、多くの細菌からも無縁な状態、つまりは無菌室状態に近く維持されてもいるでしょう。彼らは、私たちが日常晒されている「軽微な」細菌ストレスからもフリーな状態である続けるのです。

さて、僅か半年のストレスフリーの環境が何をもたらすかですが、言わずもがなの「極端にひ弱な」人間を創り出してしまうと言えるでしょう。宇宙飛行士は、取り敢えず横にされたまま無菌室の様な部屋に入れられ、地上の重力に慣れるまでは起き上がる事さえままならないのです。一週間もすれば徐々に動ける様になり、数か月のリハビリ期間の後にやっと「娑婆」に出して貰える事になるのです。ストレスが、如何に私たちにとって必要不可欠であるか、改めて認識する必要がありそうです。ストレスには、体に負荷を掛ける肉体的ストレスもありますが、精神的な苦痛にも耐える力を養う、精神的ストレスなどもあり得るでしょう。この他にも、チャンスをじっと待つストレスや、ままならない状況を地道な努力を重ねながらじっと耐えると言ったストレスもあり得るでしょう。現代人は、多くの面でストレスフリーを嗜好している様に見えますが、その様な状況に慣れてしまった人々の将来は決して楽観できないと言うしかありません。

|

« 3241 用不用説 | トップページ | 3243 新規性と進歩性 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/185422/65005186

この記事へのトラックバック一覧です: 3242 環境変化の幅:

« 3241 用不用説 | トップページ | 3243 新規性と進歩性 »