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2017年3月25日 (土)

3250 エネルギー生産性

久しぶりに環境カウンセラーらしい投稿です(だと思います。)。エネルギー生産性とは、例えばGDPをCO2排出量で割り込んで、CO2排出量1トン当たりのGDP(生産高)を示す指標です。1980年代までは、実のところこの国は世界でもトップの指標を示していたのでした。1970年代以前のいわゆる「公害列島」を返上し、二度のオイルショックもくぐり抜けて、環境技術や省エネ技術の開発や投資を積極的に行ってきたからです。しかし、バブル時代を経て崩壊後の長いトンネルの中で、国や企業も委縮し、小さく縮こまっている間に、この指標でも他の先進国に追い抜かれてしまっていたのです。

風車ではヨーロッパ諸国に大きく置いて行かれ、シェアトップを取り優位を保っていた太陽光発電もDイツやC国にアッサリと抜き去られたのでした。原子力やクリーンな石炭火力などでは善戦はしていたものの、3.11以降は原発には強烈な逆風が吹き荒れています。日本の環境技術を使って環境負荷を比較的低く抑えた石炭火力においてさえ、今は逆風の時代でもあるのです。もちろん、環境負荷が小さいとはいえ、硫黄酸化物や他の有害物質が少ないものの、肝心のCO2量は変らないからです。つまりは、エネルギー生産性は全く改善していないのです。

さて最近注目されている、まるで2足飛びくらいに環境・省エネ技術を高めようと四苦八苦している水素利用技術ですが、莫大なインフラ投資を必要とする事もあって、多分今後とも歩みはノロいでしょう。加えて、そのインフラを造るために発生するCO2があり、何より水素を発生させ、運搬するために発生させるCO2量があり、システム全体としてみて、果たしてエネルギー生産性を今より低く抑えることが出来るかどうかは全く疑問です。

見かけは、確かに水素自動車や水素を燃料とする熱電併給システムからは、水以外は排出されないのですが、見えないところでのCO2排出が増え、一方でインフラ整備のためにGDPが増えるので、エネルギー生産性がそれほど改善する訳ではないでしょう。結局、必要な行動は「無理に」水素社会を造るのではなく、私たち自身のライフスタイルの見直しだと思うのです。質素に、慎ましやかに、必要かつ最小限の暮らしこそが、エネルギー生産性も低く出来る近道なのでしょう。

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