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2017年5月 1日 (月)

3281 技術貧国?

ものごとの表面しか見ない人達が、この国は、モノ造り大国とか技術立国であると、呼ぶことがあります。正確を期すために投稿者なりに解説しておけば、「かつてはそうであった」とは言えるでしょうか。戦後の荒廃から、生活を二の次にしての経済優先で、先人が努力を重ねて、欧米の技術を取り入れ、それを改善して築き上げたモノ造り技術は、確かに一時は世界水準に駆け上がった事は間違いありません。必死にモノ造りに取り組む中で、モノを作る技術力やそれを支える「技能」レベルも十分に高まったのです。

しかしながら、いわゆるバブル崩壊やリーマンショック後の「停滞期」において、この国のモノ造り産業は、すっかり自信を失い、あるいは安易な海外展開を図る中で、「技能の部分」の凋落が著しかったと言えるでしょう。理由は、人から人への技術や技能の「伝承」が上手くできなかった事にあるのは明らかでしょう。特に、技能の伝承などと言うものは、書き物にしたノウハウや、あるいはビデオ映像等だけで伝えるものではないでしょう。技術を持つ先輩が実際にやって見せて、それを弟子や後輩が真似ながら、先輩の適切な助言も貰いながら徐々に腕を上げていくのでしょう。

しかし、例えば利益を追求するために自動化に集中的に資本を注ぎ込み、それに比べて人材の採用を抑え続けた結果、技術や技能の人から人への「伝承」の糸が途切れたり、弱まったりしたと想像しています。

具体例を挙げましょう。戦後、戦時中の航空機技術を受け継いだ成果物としてYS-11と言う旅客機が開発されました。戦闘機乗りの多くが戦死した一方、工場でモノ造りに携わった技術者や職人は、戦後も産業を支え続ける事が出来、その発露がこの旅客機だったと言えるでしょう。然るにです、その技術や技能は、結局は途切れてしまったのです。正確に言えば、海外の下請け仕事やJ衛隊向けの機体で、細々とはつながっては居たのですが、YS-11の後継機の開発は、MRJの開発まで50年間もの長きに亘り捨て置かれたのでした。その間、技術者も技能者も2-3回かそれ以上代替わりし、真の意味での「伝承」は途切れてしまったのです。歴史に「たら・れば」は無いのでしょうが、例えば1980年代にオールジャパンで後継旅客機の開発が行われていれば、この国は技術立国であり続け、カナダやブラジルを抑えて第三の航空機製造拠点になっていた筈なのです。失われた20年を取り返す事はかなり絶望的だと言うしかありません。返すがえすも残念ではありますが・・・。この国は、今後一体何で食って行けば良いのでしょうか。

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