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2017年5月30日 (火)

3302 最先端産業? 

モノ造り産業で最先端と言えば、何故か「航空宇宙産業」と言う声が上がります。事実、元々その産業が集積している中部地域以外の複数の地方でも、この分野に参入しようと、勉強会やコンソーシアムの立ち上げが盛んな様ではあります。前職でもあり、昔取った杵柄でありませんが、投稿者のつたない航空機産業での経験談を講義をする機会も多いのですが、実はあまり乗り気ではありません。仕事なので、頼まれれば出かけますが、航空機産業には常に「最先端産業」と言う枕詞が乗っけられる事には違和感しかないのです。

航空機産業は、前の大戦での敗戦で、進駐軍により完全に葬り去られた筈でした。しかし、朝鮮戦争で多数投じられた米軍軍用機のメンテナンスは、前線に一番近い日本で行わざるを得ない事情もあり、背に腹は代えられない米国は、産業の復活を許したのでした。当然の事ながら、日本軍の軍用機は高い破壊されたり、少数は没収されたりして一掃されましたが、流石にエンジニアの頭に残った航空機工学の知識や軍用機を作った技能者のワザまでは消される事無く引き継がれたので、それがやがて戦後初の国産旅客機であるYS-11として結実したのでした。

そのプロジェクトで、技術としては成功しながら、ビジネスとしての失敗を経験した日本は、その後何度かのチャンスがありながら、結局MRJの開発までは、航空機産業としては、ひたすらB国の下請けに甘んじてきたのでした。

一方で、航空機素材としてのカーボン繊維やそれを使ったCFRP技術においては一定のシェアを確保して、基盤を作った事は事実でしょう。CFRPは、航空機の軽量化を図りながら、しかし高剛性を保つには、現段階では最良の素材なので、軽い事が命である航空機には不可欠の材料だからです。しかし、軽くて剛性が髙い材料を使う事が最先端技術なのではなく、構造として極限まで安全率をそぎ落とした設計技術こそがキモだと言えるのです。しかし、それなら、何も航空機に限った話ではない筈です。例えば、今の車の安全性や快適性を損なわないで、車重を半分に出来る技術があれば、大雑把に言えば今の燃費を倍に改善できる可能性もあるのです。今は、30/ℓ代の後半で業界最高燃費と言い張っている性能ですが、一気に50/ℓを大幅に上回る可能性がある事を意味します。燃料消費を半分にする技術では、2030年のCO2削減目標も簡単にクリアできるでしょうし、そのための新たな産業を起こす必要も出てくる訳です。

開発に苦労して、最初から負け戦覚悟の新型国産旅客機プロジェクトではなく、今得意分野の一つとなっている車技術を、最先端にピカピカに磨くのもアプローチとして有効でしょう。つまり最先端技術とは、どの分野でも磨く事が可能だと言いたいのです。

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