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2017年7月 2日 (日)

3322 ゾーンニング

この国の街づくりで、行政が最も苦手としているのはたぶん「ゾーニング」でしょうか。つまり、ここは商業地区、ここは住宅エリア、ここは工業団地、ここは官庁・文教地区といった区割りが上手くできていない都市や町が殆どなのです。何故かと考えてみるに、この国では古よりまずは農地、とりわけ水田ありきで村や町が構成されていました。水田の特徴としては、引水と湛水のために等高線に沿った開発が行われてきたのでした。国土の狭いこの国では、工業化や市街化は、水田や畑を潰す形で始まり、高度成長期においては浅海の埋め立て地が造成されましたが、農家の土地に対する執着も強く、かつ工業用地や住宅地の開発に計画性を持たせる事もない「単なる許可制」だけで対処したため、無秩序な工場立地や無理な宅地造成が横行してしまったのでした。

もし、行政が「ゾーニング」の考えに立ち、将来の青写真を描きながら許認可をコントロールしていれば、現在の様なカオスは生じなかったでしょう。今日、典型的な地方市を眺めれば、中心部には、鉄道駅を中心として昔ながらの街道町の面影を残す道幅の狭い市街中心部があり、その街を迂回するバイパス道路が造られ、その周りに田んぼを埋め立てた工場が散在し、町の郊外には乱雑に開発されたいくつかの住宅団地と大きなショッピングセンターが忽然と生まれたりもしています。

ゾーニングに必要なのは、都市計画を専門とする人材と、行政の強力な指導力だと思うのです。土地は誰の「所有物か?」という根本的な問いが、時々議論されますが、土地は基本的には「公共財」であるという信念が必要でしょう。何故なら、元々誰のものでもなかった荒れ地を開墾したのは、確かにあるご先祖様だったでしょうが、それを封建時代のルールで代々の子孫が受け継いだにしても、戦後の混乱期の農地改革で、それは「適当に切り分けられてしまった」のですから、その際の権利を必要以上に重視するのは正しくないと思うのです。土地を利用するのは、基本的にはある代だけに限定された権利として認める一方、それは有期の借地権の様なものとして、用済み後は公共に返納すべきだとも思うのです。そして、土地は上手くリサイクルしながら、将来に向けて青写真に沿って、再開発すれば良いのです。確かに10年やそこらでは目に見えた変化は生じないでしょうが、50年、100年後には、理想的で住み易く、働き易い街に変化していくでしょう。職住が接近していて、子供を育てやすく、青年が学び易く、老人が安心して生涯を終える事が出来る街の理想を追求すべきでしょう。多くの地方都市や小さな町ではその理想の追求も可能だと思うのです。ゾーニングにほぼ失敗してしまった東京は、最早人の住む街ではなくなったと言うしかありません。

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