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2017年8月18日 (金)

3331 下山の勇気

似たような主旨で数回書いた様な気もしますが、まあ年寄りの繰り言と容赦願っておきます。さて、この国は、戦後の高度成長期を足掛かりに、石油危機や数回の何とか経済ショックを乗り越えて、世界でもトップレベルの経済大国に登り詰めました。その後20年以上に亘る経済の踊り場も経験した訳ですが、ナントカミクスで無理やり加速させようとした試みも潰えようとしています。兎にも角にも、経済大国にはなった訳ですが、しかし、登った山の頂上に待っていたのは、荒涼たる景色でした。今日みられる風景は、緑の殆ど無い都市に高層ビルやタワマンが林立する姿と、メッキリと人口が減り、シャッター街や廃屋が増えた田舎の「二極化」です。

経済成長とは一体何だったのか、こころで頭を冷やし、足元を見つめてみる必要がありそうです。経済成長とは、一種の錬金術です。しかし、無からお金を生み出す訳にもいかないので、元手が必要です。その元手は、地面の下にあります。鉱物や石炭や原油を掘り出す事が経済活動の第一歩でしょう。それを使って、金属を精錬し、石油製品を作って、売れる製品を大量に生産する事になります。それらを売り捌くために、またまた大量の石油を使って地球の隅々まで運ぶ必要があるのです。取り敢えず、自国内に天然資源があるなしに関わらず、取り敢えず大量生産技術を確立した国々が、経済大国入りの条件ではありました。

戦後、B国式の「流れ作業」や「品質管理」技術を、独自に改良し、カンバン方式やQM(品質マネジメントシステム)まで育て上げたこの国の「モノ造り力」は、確かに大したものではあるでしょう。しかし、それは単なる「モノ造り力」にしか過ぎず、決してビジネス力ではなかったのです。今売れる商品を安く大量に作る技術はあるにしても、ではこれから何を作って提案していくか、という将来のトレンドをリードする力は非常に弱いのです。その例として、M社の航空機を引き合いに出して申し訳ないのですが、彼の企業は既にあるリージョナルジェットという市場に打って出たのが間違いの元だったと言うしかありません。そこでは、性能や技術はさておき、価格と納期こそがカギを握る世界だからです。M社は、五度に亘るスケジュール遅れを起こしている訳ですから、売値を半分にでも引き下げない限り売れる訳などないのです。これは失敗プロジェクトになる、と断言しておきましょう。

必要なことは、草木も生えない荒涼とした頂上からの下山する勇気だと思うのです。航空機を作りたいのなら、島国や途上国の実情を汲んで、例えば安価な水上機といった飛行場の要らない新たな市場を創生すれば良いのです。山を下りつつ、原子力とか、造船とか、車とか20世紀型の産業のパワーを、少しずつ新たな産業の創生に向けて行けば良いのです。天候(経済)がひどく悪化してから、慌てて下山を始めるなら、間違いなく道を踏み外しての滑落かあるいは濃いガスに巻かれての遭難が待ち受けている事でしょう。長くなったので今日はここまで。

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