« 2017年10月 | トップページ | 2017年12月 »

2017年11月28日 (火)

3370 セミオフグリッド2

世の中は、エネルギーと言えば殆ど電力事情や石油を意味すると見做しがちですが、エネルギーの使用目的別で考えれば、空調にせよ、給湯にせよ、調理にせよかなりの部分は、エネルギーの熱利用の形態である訳です。取り分け、空調や給湯は概ね50-60℃以下の低い温度の利用になる点は注目すべきでしょう。低い温度の熱(冷熱)を得るために、電力やガスや石油を使う「ムダ」に想いを馳せるべきなのです。たとえるなら、まるで「斧で楊枝を削る」様な行為とも言えるでしょう。

我が家の屋根には4㎡ほどの太陽熱温水パネルを上げていますが、夏場であれば一回の入浴では使い切れない程のお湯が貯湯できます。雨の日や冬場は、木質燃料ボイラで追い焚きはしますが、使う木質燃料は、例えば1日当たり数キログラム程度のささやかな量で済みます。すぐ近所の家でも、石油ボイラやLPG給湯器で暖房や給湯している家や、オール電化の給湯器を使っている家などが見られますが、いずれもエネルギー源を供給しているインフラと繋がっています。その意味で言えば、我が家は熱エネルギーに関しては、オフグリッドをほぼ達成している事になります。ほぼと言うのは、調理器具としてはガスレンジが好きだと言う連れ合いの要望と入れて、LPGガスも購入しているのと、寒がりでもある彼女が床下温風暖房だけでは満足できず時々エアコン暖房のスイッチを入れるので、「ほぼ」という事になるのです。

さて、住宅には屋根の他に「壁面」というエネルギーがある事を紹介しておきましょう。南面の壁に、薄い箱に黒色フラット(ツヤ無し)に塗装し、小さな穴を明けた波板を取り付けておくと、晴れた日には80℃に近い温風を得る事ができます、既に「ソーラーパネル」という商品名でも販売されていますが、十分にDIYで自作できるシロモノです。晴れた日に、この箱で出来た温風を室内に導けば、極寒の北海道でも日中であればそれなりの暖房効果が得られるでしょう。セミオフグリッドの基本的なエネルギー源は、基本的には太陽光(熱)だと言う点は、しっかり押さえておく必要がありそうです。その意味では、例えば木質バイオマスでさえ、数年、あるいは数十年前に「樹木によって固定された太陽光エネルギー」である訳です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年11月24日 (金)

3369 セミオフグリッド

3368の続きですが、この表題では、たぶん2回目です。前に書いた事は忘れてしまいましたが、もう一度まとめてみても無駄ではなさそうです。もっとも、人気が無い地味なブログですので、誰も前の投稿を憶えていないでしょうから、何の問題もありません・・・。

さて、オフグリッドが完全にインフラから独立した、建物なり家だとすれば、セミオフグリッドとは、たとえわずかでも、インフラからの供給の一部を自前で賄っているケースを指します。インフラには、水道や通信や交通なども含まれますが、ここではエネルギーに限って筆を進める事にします。さて、エネルギーにも熱、光、電力などその形態によっていくつか考えられますが、この国では、エネルギーと言えば電力・石油・ガスにほぼ限定されますので、以下もそのインフラからの独立を考えていくことにしましょう。

さて、エネルギーの最終的な使用形態を考えると、殆どが熱形態と光源を含めた電力形態にまとめられそうです。熱は、調理と暖房など、電力は調理と冷暖房を含む空調、その他の家電のエネルギー源となりますが、これがこの国の基本的なエネルギー源として定着してしまった様です。石油エネルギーは、専ら輸送用(車)の燃料であり、冬場の石油暖房の季節需要に集約されてしまった様です。

その電力のセミオフグリッドを始めるのは、非常に簡単です。どんな家庭でも、ビルでも、配電盤では色々な方向の配線が分かれており、それぞれに元スイッチ(ブレーカ)が付いています。小型の太陽光発電のパネルを、バッテリーに繋いで、出力側にインバータを接続すれば、準備OKです。ある一系統、例えばパソコンなどが繋がっている)系統のブレーカを落とします。その系統に繋がっているコンセントに、インバータからの電力線を逆に流し込んでやれば停電時でもパソコンが問題なく動くでしょう。電力量の限界は、バッテリー容量とインバータの能力によって決まります。パソコンやテレビを併せても1kw弱のインバータ容量と大き目の車用バッテリー程度で、数日間は停電に耐えられるでしょう。もちろん、電力を送り込んでやるコンセントには、送る側にブレーカが必要でしょうし、間違って元のブレーカのスイッチを入れない様に気を付ける必要はあります。後は、予算に応じてこれを別系統にも広げれば良いだけです。もちろん、エアコンや調理家電やヘアドライヤなど短時間に大きな電力を必要とする系統は、グリッド接続のままとしておく必要はあるでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年11月21日 (火)

3368 系統連系問題3

旅行から戻って、投稿再開です。そもそも、日本の電力会社は地域に分散していたのでした。地域の力のある財産家が、地域にある水系を利用して、水力発電所を作り、地域の電力を賄い始めたのが最初でしょう。福沢桃介が、岐阜県の揖斐川水系で発電を始め、それが日本における電力事業の嚆矢となった話は有名ですが、その電力を使って、西濃地域に工業や化学工業が興隆したのでした。

つまり、ニーズがあってそれを満たすためのインフラを作るか、あるいはインフラがあって、その余剰分を生かすためにニーズや産業が興るというのが自然の成り行きなのでしょう。然るに、今の地域独占で、一見無駄が無さそうな今の電力インフラはどうでしょう。契約して(お金を払って)スイッチを入れれば、誰でも好きなだけ電力が使えるシステムが出来上がっていますが、毎年夏場には、発電能力の90数%に上るデマンドが発生し、節電を呼びかけるのが年中行事になってしまったのです。電力会社が利益を上げるために、出来上がったインフラがあるから、電気はEVやオール電化でドンドン使えと喧伝し、一方では夏場だけピークを下げたいので、節電を呼びかけると言うご都合主義がまかり通っているのです。

一度、自分の家やマンションがインフラから切り離された状況をシミュレーションしてみるのも有益でしょう。電力が無くなると、マンション住人は生活が全くできなくなる筈です。エレベータが動かないのですから、生活に必要なものを手に入れるにも、いちいち長い非常用階段を使って登り降りする事になりますし、ポンプを使って屋上タンクに上げている水も使えませんし、電気を使う全ての道具が役立たずになってしまうですからたまりません。私たちが如何に大規模インフラ、取り分け電力インフラに依存しきっているのが、簡単な想像でも分かる筈です。

投稿者がおススメすのは、セミオフグリッドです。これは、全ての電力を自前の太陽光発電などで賄うオフグリッドではなく、ベランダの手すりなどを利用して設置した小規模な太陽光発電を作り、その電力をバッテリーシステムに貯めておき、日常的にも使い、非常事態にも必要最低限の電力を確保すると言う仕組みです。オフグリッドにするためには、例えば5kwクラスのPVと大型の蓄電システムが必要だとすれば、1kw程度の小さなPVと小型の蓄電システムで、照明や通信のための必要最低限の電力の1週間分を賄うと言う安価なシステムで十分でしょう。ここでの結論としては、インフラベッタリの生活を送る限り、インフラ断絶のリスクからは逃れられないという点を改めて指摘しておきたいのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年11月16日 (木)

3367 系統連携問題2

系統連系の問題を、デマンド側から考えてみます。現代の消費者は、自分は神様だと信じ込み、すっかり無精でワガママになってしまった様なのです。食べ物や商品の在庫は、切れていないのが当たり前で、同様に商用電力も停電が無く、何時でも好きなだけ使える事が当たり前だと考えている筈です。自分でそう言っておいて、さて自分が停電に遭遇したのは一体何時の事だったか、実は思い出せません。何時か、変電所に落雷した時だった様な気もしますが、やはり思い出せないのです。そういう、均質でユニバーサルなサービスを、そのインフラの整備も含めて全国津々浦々まで普及させた電力会社は、地域独占というお墨付きが与えられていたとはいえ、大したものなのでしょう。

しかし、電力を消費する側(デマンド側)として考えなればならない事はいくつかあると思うのです。発電所の容量や送電網の容量は、ある時点のピーク電力(たぶん真夏の午後2時過ぎと想像)を基準として設定されるものでしょう。それに対して発電量としては、10%弱の余裕を持たなければ、電圧が安定的に保てない筈です。送電線ネットワークにはもっと大きな余裕がある事でしょう。電力会社間の電力融通があるからです。投稿者が住む地域では、聞きかじったところによると、実際に送電網に流れているのは、容量の2割程度の様なのです。

いずれにしても、需要家の基本料金は、ピーク電力を元に算定され、その量が多い程ペナルティ的に高く設定されている筈です。

消費者としていの一番考えてみなければならないのは、デマンドの抑制でしょう。一般家庭でも、企業でも、電力ピークは月曜日の朝一番か、暑い盛りの晴天の午後に生じている事でしょう。もし、このピークを2-3割減らす事ができさえすれば、間違いなく発電所の規模も2-3割縮小できる勘定になります。デマンドを抑え込むためには、結構な知恵と工夫と努力が要る事は間違いないでしょう。先ず、負荷を支配している機器(家庭では家電)を特定し、その運転要否を厳密に管理する必要があるでしょう。その上で、各時点の電力値を把握し、自分が決めた上限値を超えそうな場合は、優先順位の低い機器から停止する努力が不可欠なのです。これをデマンドコントロールと呼びますが、出来ればスマートな機器を使って自動的に行いたいところです。更に続きます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年11月15日 (水)

3366 系統連携問題

再生可能エネルギーの活用に当たっては、それが電力の場合「系統連系」が問題になります。大型の太陽光発電所や大型風車などの場合は、発電した電力を送電設備で電圧や周波数を商用送電網に合せて調整した上で、連係をする必要があります。その際、電力網を所有する電力会社からは「法外な負担」を要求されるケースも多い様です。もちろん、電力会社側からすれば、送電網の整備のためにはそれ相応のコストが掛かりますから、その一部を負担せよと迫るのは、一見妥当とも思えます。しかしながら、新たに系統のための送電線を設置するのは、再エネ側の負担となっており、既存の送電網の整備なら、再エネの連携有無に関わらず発生する筈です。

従って、新規の再エネ設備を投資する際には、送電網の負担額も含めた採算を弾く必要があるため、多くの再エネプロジェクトで初期段階で諦めてしまう結果に至る様です。これでは、多くの再エネのポテンシャルを潰してしまう悪い循環に陥ってしまうでしょう。これは、いわば経済性の罠だとも言えそうです。儲からないものはダメだ、という経済性優先社会の弊害です。

そうではなくて、再エネ設備で生まれたエネルギーは、地元で消費してしまうのが基本でしょう。つまりは、エネルギーの地産地消です。そちらの方向に舵を切ると、系統連系は200Vの低圧で十分という別の結論になる筈です。つまり、一般の住宅や工場に届いている電線(電柱)に、再エネ電力をそのまま繋いでやれば良いのです。もちろん、その周辺の電圧を安定化させるためには、電力の質を上げた上で、デマンドと発電量の変動を考慮してやる必要はありますが。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年11月13日 (月)

3365 バイオガス発電2

 

バイオガス発電には、もちろん大型のものも存在します。木質燃料を使うという意味では、国内にも2万kwもの出力を持つバイオマス発電所もありますし、先日この地域に完成した、生ごみをスタート原料とするバイオガス発電所は700kw以上の出力が出る様です。しかし、考えてみなければならないのは、原料を輸送する「化石燃料」なのです。前者のバイオマス発電所では、地元で発生する木材チップだけでは不足するらしく、海外から輸入するバガスも燃やしているらしいのです。再生可能エネルギーを得るために、輸送にバカにならない量の化石燃料を投入するのは、「禁じ手だ」と断ずるしかないでしょう。それは、目的と手段の逆転というものでしょう。

 

後者のバイオマス発電所でも、安定的に発電するためには、食品加工工場やコンビニチェーンあるいは外食産業から、パッカー車(ごみ収集車)を使って、毎日毎日50トンもの生ごみを、発電所に運び込む必要があります。3台のパッカー車が、平均200㎞走り回ると控え目に仮定しても、100リッター以上の軽油を消費する事になります。経由100リッターあれば、暗算でも1,000kwh相当の電力が発生出来る勘定ですから、この発電所が24時間に発電出来る量、たぶん17,000kwh程度でしょうから発電電力の「6%程度は石油で発電した」と見做す事ができます。もちろんこの発電所が出来る前は、パッカー車で「ごみ焼却場」へ運んでいたのでしょうから、それは無視できる、と強弁する人もいるでしょう。

 

しかし、真の再生可能型エネルギーを追求するためには、パッカー車をEV車として、それをこの発電所で発電した電力で動かすしかないのです。あるいは、食品廃棄物を発生させる食品工場に小さなバイオガス発電所を併設して、その日に発生した廃棄物を丁度処理できる規模とするべきでしょう。具体的には、日に5トンの食品残渣が発生する工場には、50-70kw程度の発電所が最適という計算になるでしょう。モノを運ぶ行為自体には、モノの価値やエネルギーポテンシャルを上げる意味はないでしょう。真の再生可能エネルギーを指向するためには、輸送を必要最小限に抑え込む工夫を考えるか、あるいは発生させたエネルギーで賄う事を考えるべきなのです。ここでの結論としては、再生可能エネルギーを考える上では、輸送は悪であり、原料の発生量にシンクロさせた最適サイズを指向すべきだ、という事になりそうです。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年11月12日 (日)

3364 バイオガス発電

長い出張から戻って、久しぶりの投稿です。さて、最近投稿者自身も巻き込まれつつある表題ですが、バイオガス発電と言っても決して新しい技術ではありません。エネルギー利用という意味でなら、この国でも戦前から実用化されていたからです。石油が、戦略物資となって輸入されなくなった時代、私たちのご先祖は、なんと木炭を燃料にして車を走らせていたのです。木炭を「不完全燃焼」させると一酸化炭素(CO)が出ますが、これをガスエンジンに導いて、プラグで点火させると、ガソリンには遠く及びませんが、それなりに「おしとやかに」爆発し、エンジンが回るのです。COの熱量は、同じ重量当たりではプロパンの2割程度なので、それでエンジンを動かした時の非力さが想像できると言うものです。容易に想像できますが、この木炭エンジンを積んだ車の最大の苦手は、坂道、それもかなり緩いものでもダメだった様です。従って、戦後石油が潤沢に入る様な時代になって以降は、木炭自動車はSLと同様、歴史上の技術になり、博物館入りとなってしまったのでした。余りにも地味な技術だった事もあり、実は博物館にさえ展示されているところも、稀の様なのです。

しかし、木材などを乾留させたガスはシンガスとも呼ばれ、一酸化炭素と水素が混じったものなので、かなり馬力が上がります。畜糞や生ごみを醸して発生させる消化ガスも、メタンが6割程度以上含まれていれば、実用的にはそれなりの出力でエンジンが動かせるでしょう。実世的という意味は、熱量が小さな燃料を用いた場合、当然の事ながら出力当たりのエンジン重量が大型化するので、それなりのサイズで必要な出力のエンジンが作れるという事を指します。

さて、バイオガスは種々の材料から乾留法や消化法で得られますので、身のまわりを探してみると結構原料には事欠かない事が分かります。田舎であれば、畜糞、木粉、もみ殻、鶏糞、食品残渣などなど、燃やすにしても処理するにしても厄介なモノどもが、結構良い原料=燃料になる様なのです。実証プラントもいくつか出来始めました。とは言いながら、先進地域の欧州に比べれば、1周遅れどころか2周程は遅れていると言うしかありません。先進地域では、50kw程度小型バイオバス発電プラントが、低い方の数千万円で手に入る「量産品」になっているからです。投稿者がドイツを訪ねた2001年頃には、独仏だけで既に2000台以上も普及が進んでいたからです。大きな農場は、例外なくバカ高く設定されていたFIT電力目当てで、競って導入を進めたからでした。続きます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2017年10月 | トップページ | 2017年12月 »