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2018年4月12日 (木)

3422 負の遺産

「遺産」には、もちろんそれを受け取る子孫にとっては、何かしら棚ぼたの様なプラスのイメージがある筈のものです。労せずして、親や親族が残した財産(や権利)を継承できるからです。しかし、考えてみれば遺産はプラスのものだけではありません。それが「負の遺産」です。瀬戸内海の真ん中に懸けた瀬戸大橋が、架橋後30年を経過したそうですが、鉄で出来ているこの構造物は、残念ながら年々劣化が進んでいる筈です。少なくとも鉄は放っておけば錆びる素材だからです。それを食い止めるためには、錆が出たらそれを落として、ペイントを塗り直さなくてはなりません。いわゆるインフラのメンテナンスです。適正なメンテナンスのためには、設備やインフラには、毎年取得価格の2-3%の費用を掛ける必要があると言うのが常識です。瀬戸大橋の寿命を何年に設定しているのかは承知していませんが、100年以上も維持することは多分無理でしょう。

見回してみれば、私たちの周りは先輩や自分達が関わって、作ってしまった遺産に取り囲まれている事に気が付きます。高速道路、鉄道、橋梁、トンネル、港湾施設、各種のプラント、原発を含む発電所・送電網、ダム、河川工事云々かんぬんです。しかも、それらのインフラは、皆結構なお年頃になってメンテナンス費用の嵩む年代に差し掛かってもいるのです。問題は、多くのインフラは建設時にはメンテナンスの事など殆ど考えられずに設計され、建設されているという点です。メンテナンスは、それが出来てから改めて考えるという後追いになっている訳です。それも当然で、建設時の積算費用にはもちろんメンテナンスのための仕掛け(例えば点検用の足場)は、コスト競争に勝つためには除外せざるを得ず、それは使用者が運用の中で考えるべき事項に押し込まれてしまっているからです。

前出の長大橋にどれだけメンテナンスのための仕掛けが施されているか、詳細には知りませんが、もし橋げたの下部の点検・補修のために仮設の足場を掛けなければならないとしたら、海上部だけで10㎞もあるこの橋の場合、その費用だけでも天文学的な金額になる筈なのです。その費用は、メンテナンスに関わる世代へ、先輩世代から贈られた「負の遺産」の典型例と言えるのです。架橋による便益は、今の世代が受取り、崩落しない様にお守りをする費用を次世代に先送りする、といった例の何と多い事でしょう。もちろん、原発はその極端な例である事は論を待ちません。出るのはため息だけ・・・。

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