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2018年5月31日 (木)

3451 モノ造り

モノ造り(ものづくり)と言う言葉は飲み込むのに抵抗があります。そもそも、神でもない人にモノが作れる訳がありませんし、モノを作ってもショウガナイとも思うからです。モノを作れないというのは自明でしょう。例えば、製鉄業に関わる人達は、我々は鉄を作っていると主張するのでしょうが、鉄はそもそも地球上に存在した物質なのです。もちろん、鉄は隕鉄などの例外を除けば、酸化鉄として赤茶けた地層(地層ですから元々は海の底だった場所)に堆積していた物質であり、製鉄所はその酸化鉄をコークスを使って「還元」している工場に過ぎない訳です。還元をモノ造りと呼ぶのは、おこがましいでしょう。

いわゆる、モノ造り工場と言う言う存在は、原料を買ってきて、それに手を加えて(加工して)何らかの付加価値と利益を乗せて、客先に売り払うビジネスを指すと言えるでしょう。加工は、決してモノ「造り」でもましてやモノ「創り」でもなく、単に原料の形や見かけ上の性質を変える作業に過ぎないでしょう。この国の、「モノ造り産業」に展望が開けないのは、まさに加工と言う名のモノ造りに徹し過ぎているからだと感じています。材料を買ってきて、加工をすれば勝手にモノの付加価値が上がる筈だという思い込みが強過ぎるのです。なので、もし儲からない事態になれば、同じ加工をより安いコストで作るべきだと思い込み、ひたすらコスト削減にまい進する事になります。

この間違いは、結局モノの「機能」あるいは「働きの持つ価値」を考えていない事から始まるのです。例えば、ひたすらボルトを作る加工に専念している工場があるとします。今頃は、丸棒を削ってボルトを作るなどと言う工場は存在せず、転造と言う技術で作っている筈です。しかし、ボルトの持つ「機能」を考えてみると、それは「モノを締結する」事にあると定義できます。ボルトなので、当然の事ながら緩める事によって分解も出来るでしょう。しかし、分解の出来る締結はボルトと言う(古いアイデアの)部品にしか出来ないか、という問への答えはYesではない筈です。スナップピンやスナップリング、また分解を前提にしないのであれば接着剤や溶接やFSWだって考えられるでしょう。「ボルト」をモノを締結するという機能、「車」をドアからドアへ雨に濡れないで移動する機能を持つ手段、冷蔵庫を食品の腐敗を防ぎながら短期間保存する方法などと定義し直すと、全く新しいアイデアによる製品も生み出せると思うのです。モノ造り大国は、既に煮詰まってしまった幻想に過ぎないのです。今後は、機能創り(コト創り)大国へ脱皮・移行しない限り、決してこの国の展望は開けないと思うのです。

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