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2018年10月22日 (月)

3512 この国のジリ貧

この国が、長い停滞期に入ってしまい、そこから抜け出せない閉塞状況に陥っている事に関しては、いくつかの理由が考えられます。確かにこの国は、経済成長を機に労働者の勤勉さと技術力などをテコに、一度は世界トップの経済大国に迫るまで力をつけてきました。しかし、技術力を取り上げると、「それ(製品)を如何に安く大量に作るか」という点のみに注力し、ではその技術力で「何(コンテンツ)を作るか」を横に置いてきてしまった様なのです。例えば、投稿者が内情を良く知っている(と思っている)航空機業界を考えてみれば、Mビシ重工が、それまでCナダとBラジルに抑えられていたリージョナルジェット(RJ)を開発し市場に打って出たケースを考えてみましょう。

Mビシは確かに、開発を行うに当たって、「技術的」な準備を着々と進めてもいました。B-イング社の下請けで胴体製造の技術を、また今やライバルとなってしまったCナダの企業の下請けを行って、主翼を作る技術を「モノ」にしていたのです。しかし、飛行機は胴体と主翼があれば飛ばせる訳でもないでしょう。エンジンも要るし、操縦するシステムやアクチュエータも要るでしょう。更に言えば、航空機全体としてのバランスを確保した上で、業界のルールに則ったいわゆる設計上の航空安全への綿密なチェックも欠かせない筈です。何より、RJ市場の綿密なリサーチが不可欠だった筈です。MビシのRJの開発がスタートした時点では、もしかすると性能は他社を抑えて有利に立っていたかも知れませんが、なにしろ5年ものスケジュール遅れがあって、その間にライバルが改良型RJを市場に出す時間を許してしまったのでした。

そうでなくて、Mビシが考えるべきは、RJではない「新たな航空機市場」だったと思うのです。RJは国内の大都市間、或いはハブ空港と地方都市を結ぶいわゆるハブ路線に向けた市場を向いています。途上国の経済が拡大するにつれて需要もそれなりに拡大しているでしょう。しかし、実績の無い後発メーカーが市場に割って入るのが至難のワザである事は、天下のMビシをしても事情は変わらないでしょう。しかし、新たな市場であれば、トップランナーになれる訳で、初期には市場のシェアもトップを取る事ができるのです。例えば、飛行艇(機体の下部が船の形の飛行機)や水上機(フロート付きの飛行機)であれば、東南アジアに多い島嶼国(フィリピンやインドネシアなどがその例)への市場が開ける筈なのです。そうこうしていたら、最近のニュースでお隣のC国が自前で4発の飛行艇を開発したのとニュースが流れました。

この国(の企業)が持っている技術や人材を使って、今ある市場で勝つためにどう作るかではなく、市場に新たに何を提案して作るかが問われる所以です。

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