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2018年10月27日 (土)

3515 失敗学に学ばない失敗

失敗学は、たぶんH村洋太郎がその著書の中で提唱したものだった様な気がします。失敗を学問と位置付けた慧眼は確かに素晴らしいものだとは思いますが、その学問が生まれたお膝元のこの国で、それが広まっていない事は返す返すも残念でなりません。そもそも、他社で失敗してニュースに取り上げられた醜聞を、自社に引き寄せて考える事をしないのでしょうか。同じ業界ではなくとも、免震ゴムと免震ダンパーの業界は殆ど同業と言っても良いのでしょうが、免震ゴムの品質不適合がマスコミで大々的に取り上げられたのは2015年であり、それから3年余りを経過してから、今度は防振ダンバーの不正騒ぎです。どちらも、建物に設置して、地震の振動から建物を守る目的で、建物の設計者によって免震(地面が揺れてもゴム装置の上に載っている建物は殆ど揺れない)か、或いは防振(建物が揺れた場合、油圧ダンパーなどによりその振幅を減ずる)の機能を有する装置によって、地震被害を回避したり最小化するための仕掛けです。

当然の事ながら、T洋ゴムの不正報道に接した際に、油圧ダンパーのメーカーの品質管理担当は、自社の不正にも思いが及んだのは間違いが無いでしょう。それを内部告発する事ができなかった事は、単に事実の発覚を遅らせただけではなく、引き続き製作され続け、建物に装着され続けた事によって、今後受けるその企業の損害を天文学的な数字に拡大させたのです。もし、不正を行った直後であれば、数件のスキャンダルで済んでいたかも知れないのに、今や対象案件は1,000件に上るというのですから、言葉を失います。しかも、スキャンダルは同業他社にも飛び火している事に至っては全く何をかいわんやでしょう。

失敗学の神髄は、他社の失敗に学び、自社の失敗を未然に防ぐだと言えるでしょう。未然に防ぐことが出来なかった場合でも、少なくとも失敗の結果蒙る損害を極少化する事は可能の筈です。その意味では、全ての企業が為すべきは可能な限り初期に失敗に気付き、それを潔く認め、その対策を打って、しかもそれを公表する勇気を持つべきなのです。対策が遅れれば遅れるほど、その被害は拡大し続ける事は、山の様な失敗例を経験してきた自動車業界のリコール案件やエアバッグなどの関連業界の失敗に学ぶところが大でしょう。しかし、自動車業界でも未だにリコールが数十万台に及ぶ案件を引き起こしているのを見るにつけ「懲りない業界」であると断ぜざるを得ません。リコールが数十万台に拡大する前に、数件の前触れ事故に着目し、その原因を徹底的に追及する事が出来たなら、1-2万台規模で製造にブレーキが掛かったのは間違いないでしょう。生産を止める事は、確かに経営上のリスクではあるのでしょうが、その企業の名声は保持出来た筈なのに、大規模リコールはその名声を大いに貶める由々しき事態なのです。

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