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2019年4月24日 (水)

3580  技術よりビジネス

この国には、技術さえ優れていればモノは売れる、と言う根強い神話がある様です。しかし、モノを作ってそれを売る前に、考えなければならない重要な事がいくつかあると思うのです。先ず第一には、マーケット(市場)の存在でしょう。市場は、既にそこにある市場=既存市場と、まだ目に見える市場が形成されていない潜在市場がありそうに思えます。市場が拡大しつつある局面では、メーカーはその市場に向けて、安くて品質の良い製品をドンドン押し込めば、やがて市場のココロを掴み、売り上げは伸びていく筈です。
しかしながら、現代の様に成熟した市場ではどうでしょう。メーカーは、激しいシェア争いを繰り広げ、忙しいけれどしかし儲からない苦しい経営を余儀なくされるハメに陥ります。利益なき繁忙です。それもこれも、既存の市場に分け入って、シェアを得るという苦しい戦いを選択した経営戦略の所為だと言うしかありません。もちろん、まだ影も形も無い潜在市場を開拓するのは既存市場に切り込むのとは違い、リスクも大きいでしょうし、何倍も苦しいことでしょう。
しかし、この国の企業、特にメーカーはこのリスクや苦労を回避し続けてきたと言うしか無さそうなのです。例を挙げましょう。民間航空機市場の一分野として、RJ(リージョナルジェット)があります。国内の地方路線を担う、比較的小型のジェット旅客機の市場だと言っても良いでしょう。この分野では、欧州の中規模メーカー、カナダの航空機メーカー、ブラジルの航空機メーカーが先行し、市場を形成してきたという経緯があります。そこに、この国ではメジャーな航空機メーカーであるM社がMRJを引っ提げて参入した訳です。参入発表当時は、確かにMRJの性能は、先行していた他社の機体に比べれば、例えば燃費性能などで上回っており、注目もされたものでした。しかし、YS-11から50年もの時間が空いてしまい、新規機体の開発経験者が居なかった事もあり、スケジュールがべた遅れになり、その結果として、既存メーカーによる技術的追い上げで、追いつかれてしまったのでした。市場は、常に高いコスパとタイムリーな市場投入時期を求めます。その結果としてMRJは市場から見放されたと言われても仕方がない状況に陥ったのでした。
では、この国の航空機産業はどう行動するべきだったのでしょうか。一つの回答は、水上飛行機または飛行艇の市場投入でしょうか。多数の離島を抱える、この国や東南アジアの多くの国々や太平洋の島嶼国では、離島間の移動は船に頼っているケースが多い事でしょう。しかし、これらの島々を水上機でリンクさせれば、人の移動、取り分け観光業の興隆に多大な効果が期待できる筈なのです。水上飛行機の市場は、まだ十分には開発されては居ない、いわば潜在的な市場だと言えるでしょう。その市場に、J衛隊に採用されている飛行艇の技術を民間に転用した機体を送り込めば、新たな市場の拡大に寄与することになる筈なのです。これが、技術よりビジネス(市場)と投稿者が主張する、一例となるでしょう。続きます。

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