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2019年7月 4日 (木)

3621 後戻りの方法2

インフラの後戻りの次は、輸送システムの後戻りです。古の時代長距離輸送の花形は帆船でした。この国では、北前船、西洋の国際貿易の花形は、3本マストのスクーナーでしょうか。この、超高速の帆船は、喜望峰回りでもヨーロッパとインド間を2週間ほどで航海したと言われています。現代の船比べてもその半分ほどのスピードは出ていた勘定です。
陸上では、大量輸送時代の嚆矢は鉄道輸送でしょうか。鉄道は、ツルツルの平滑な軌道(レール)上を、ピカピカに磨かれた車輪が転がりますので、荷車や自動車が道路を走る場合に比べて、転がり抵抗が一桁低い、優れものの省エネ輸送システムだと言えます。実際、正確なデータでも単位貨物当りで比較すると、トラック輸送のエネルギーを100とした場合、鉄道は10のエネルギーで済んでしまうのです。とは言いながら、道路さえ作ればどこへでのいけるトラック輸送に、鉄道輸送はかなり淘汰されてしまった様です。
航空機について言えば、比較的抵抗の低い空中を飛ぶ訳ですから、飛行の際の抵抗によるロスは少ないのですが、なにしろ金属で出来た機体を空中に浮かべなければならないので、余分なエネルギーを費やすため、たとえば陸上の大量輸送システムであるバス輸送に比べても、乗客・キロ当たりのエネルギーは数倍になる様です。
船、鉄道、自動車、飛行機と、私たちはなにしろ高速で便利な輸送手段を求め続けてきた訳ですが、ここらでその無茶苦茶な歩みにもブレーキを掛ける必要がありそうです。一番簡単な方法は、同じ輸送手段であっても減速する事です。特に、時速で言えば100㎞/時に近づくにつれて、走行抵抗に占める空気抵抗が支配的になってきますので、例えば高速道路の制限速度を10㎞/時程度減速させるだけでも、5-10%程度の省エネが可能となる筈です。
更に時代を巻き戻すなら、例えば少し前に持て囃された「モーダルシフト」というアプローチもあるでしょう。フェリーと、荷台だけ切り離せるトラックを組み合わせて、遠距離のトラック輸送を海上輸送に切り替えるシステムです。このアプローチでは、夜間の高速道からかなりの先ずのトラック便が消えるでしょう。つまり、地方の港でフェリーに積まれた荷台だけのトラック便は、翌朝東京のフェリーターミナルで受け取られ、そのままトレーラヘッドに牽引されるか、特殊な運転台明けのトラックに載せられて都内の配送に回される事になります。高速道路のメンテナンスやトラックの燃料費、更に言えば大気の汚染や騒音下などが随分減らせる筈なのです。後戻りは単に不便な社会に逆戻りするだけではなく、工夫次第では他方面の改善も可能なのです。

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